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現在、義務教育の小・中学校や、高校、大学は、教育改革の名のもと大きく変化しています。ポイントは3つ、新しい学習指導要領の導入と英語教育改革、大学入試改革の実施です。激しい社会の変化に柔軟に対応できる力の育成が求められている現在、学校も社会との連携を図っていくことに重点が置かれるようになります。
学習塾業界においてもこうした状況に対応するために、学習効果を高めることに加え、先生が生徒や保護者ともっと向き合えるようにするために、デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用が注目されています。
今回は学習塾業界においてなぜDXが必要なのか、また具体的な導入事例をご紹介し、これからの学習塾が取り組むべきDXについて考えてみます。
また、株式会社地域新聞社では企業とユーザーに対し、スクール業界のデジタル化に関するアンケートを実施いたしました。その結果も合わせてご紹介します。
【目次】
1.2020年の教育改革とは?教育改革の現状
2.なぜDXを推進するのか?
3.学習塾業界におけるDXとは?
4.業務効率化のDX事例
5.生徒向けのDX事例
6.経営規模の小さいスクールや学習塾が最初に取り組むべきDXとは
7.まとめ
現在、小学校・中学校・高校・大学で学ぶ学習内容は、教育改革のもと大きく変化しています。そこで求められているのは、これからの激しい社会の変化に対応できる力の育成です。2020年の教育改革には3つの大きなポイントがあります。
◆新しい学習指導要領の導入
「学習指導要領」とは、全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるよう、文部科学省が定めているカリキュラムの基準です。およそ10年に1度改訂され、小学校では2020年度、中学校では2021年度、高校では2022年度から新しい学習指導要領に基づいた学習が実施されています。
今回導入された学習指導要領では、「生きる力」を育むために「社会に開かれた教育課程」の実現が重要視されています。主体的・対話的で深い学びを実現する「アクティブ・ラーニング」、子どもや地域の実態に即した教育を実現する「カリキュラム・マネジメント」を実施し、「学びに向かう力、人間性など」「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」の3つの力をバランスよく育成することが宣言されています。
◆英語教育改革
英語教育は、グローバル化のすすむ社会に対応できる英語力の育成に重点が置かれています。
小学校では、2020年度から3、4年生が外国語活動という体験型学習に取り組むことになりました。5、6年生からは算数や国語と同様の教科として英語の授業が始まっています。学級担任に加えて専門教員を積極的に活用し、初歩的な英語の運用能力を養います。
中学校では、英検準2級を目指した授業が展開されています。身近な話題について理解し、簡単な情報交換や表現ができる能力を養うことが目的です。コミュニケーションに必要な単語として2200語から2500語程度を指導。授業自体を英語で進めることを原則とし、話す能力を養うためにニュース記事について自分の意見を発表したり、仲間の意見を聞いたりする授業が行われています。
高校では、英検2級以上を目指した授業が展開されています。より幅広い内容について理解するとともに、英語を話す人とある程度流ちょうにやり取りができる能力を養います。英語で授業が進められるだけでなく、ディベートやプレゼンテーションなども授業に取り入れています。
大学入試では、英語の民間試験を活用する動きが、私立大学を中心に増加傾向にあります。今までの試験では測ることが難しかった「話す」能力を測り、英語で会話することが前提となる授業を浸透させるねらいがあります。
◆大学入試改革
「大学入試センター試験」に代わり、2020年度(2021年1月)から導入された「大学入学共通テスト」では、知識・技能だけでなく、それらを活用して自ら課題を発見し、解決していく上で必要な「思考力」や「判断力」「表現力」なども必要とされるようになりました。
また、大学ごとの個別試験においても一部選抜方法が変わりました。AO(アドミッションオフィス)入試が「総合型選抜」、推薦入試が「学校推薦型選抜」と改められ、これまではほとんど実施されてこなかった学科試験が課せられるようになりました。
これからの社会では、知識の質と量が学力のベースになっていた従来とは異なり、実社会において自ら問題を見つけ出し、他者とコミュニケーションをとりながら解決していくという「21世紀を生き抜く力」が求められます。また、学校側も社会との連携を図っていくことに重点が置かれるようになります。
(参考記事:
2020年の教育改革とは?3つのポイントをわかりやすく解説!
日本教育新聞 英語教育改革が2020年度からスタート、小中高校で英語の授業はどう変わる?
東洋経済オンライン 大学受験それでも「英語民間試験」受けるべき理由
マイナビ進学 高校生のための進学ガイド)
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものに変革することです。
DX推進のメリットは、生産性向上やコスト削減です。また、これまで考えもしなかった新規事業が生まれる可能性もあります。既存データの活用で売上を伸ばすことも可能です。
コロナ禍でデジタル化が急速に進み、社会は大きく変わりました。今の時代、価値を生み出すためにはデジタル技術の活用が必須です。企業文化を刷新できない企業はビジネス変革の波から取り残され、デジタル競争で負けてしまいます。国際競争力を付けるためにも、DXに取り組む必要があります。
また、少子高齢化や労働人口の減少が進む日本において、全企業の99%の割合を占める中小企業の生産性を上げることは、国にとっても大きな関心時です。中小企業がDXに取り組まなければ、日本全体の競争力も低下してしまいます。ただし中小企業は経営者の意向が反映されやすいので、経営者が本気で取り組めば一気にDXを推進できる可能性を秘めています。
もちろんDXにもデメリットはあります。ITの導入には初期費用やランニングコストが必要であり、新たな人材の雇用や育成も必須です。しかし長期的な視点で考えると、DXは会社に大きな利益をもたらしてくれる可能性があります。経営層がしっかりと判断し、DXにいかに取り組むかを見極める必要があるでしょう。
(参考記事:
さくマガ なぜDXが必要なのか?経済産業省のガイドラインや企業の事例をもとに解説
経済産業省 産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX))
新型コロナウイルスの感染拡大は、家庭におけるスマホやタブレットなどの端末普及やWi-Fi環境などのインフラ整備を一気に進めました。
学校が休校になったため、学習塾も休校にせざるを得ない状況となり、オンライン授業の普及が一気に加速しました。オンラインで授業を行うことへの生徒や保護者の理解が進み、ICTリテラシーも上がりました。その中で学習塾は、教室という空間だけではなく、デジタルを使った自宅学習支援を融合して行うなど、DXを有効に活用し生徒や保護者のニーズに応えました。
また、業務の効率化においてもDXは非常に有効です。
保護者は学習塾に対し、子どもの学力アップだけではなく、先生とのコミュニケーションや、子どもへのきめ細かな対応、学習の理解度などを詳しく知ることを期待しています。しかし、学習塾側も人員は限られており、業務の効率化が求められてきました。
DXを活用して無駄な業務を減らすことは単にコストの削減できるだけではなく、先生が生徒・保護者と向き合うための時間を創出することができます。先生が時間的、精神的に余裕を持てるようになることは、学校とは違った学習塾の良さを引き出すことにもつながります。
学習塾に来る子どもたちは「話を聞いてもらいたい」「共感的対応をしてもらいたい」ということを本質的に求めており、学校が対応するのが難しいことを学習塾が担っている部分が多少なりとも存在します。しかし、どんなに業務の効率化を進めても、先生と生徒・保護者が頻繁に面談をすることは困難です。DXツールはコミュニケーション手段として活用でき、相互理解や信頼感を深めることに役立ちます。
では、現在、学習塾業界ではどのようなDXツールが利用されているのでしょうか。具体的な事例を見ていきましょう。
(参考記事:DXが加速する学習塾の進化と革新)
Comiru(コミル)とは、教室と生徒・保護者をつなぐコミュニケーション管理アプリです。
Comiruには保護者との信頼関係を築くためのさまざまなコミュニケーション機能がそろっています。
今まで、塾からの連絡手段はメール、もしくは生徒に直接手渡しするプリントが一般的でした。しかし、最近ではメールを小まめにチェックする保護者も減ってきています。また、プリントを手渡しても、生徒が保護者に渡すのを忘れてしまう、ということはよくあることで、保護者に確実に情報を届けることは困難でした。
しかし、Comiruなら、情報を保護者スマホのLINEやComiru専用アプリにプッシュ通知できるため、「確実・リアルタイム」に情報を届けることが可能になりました。教室側はそれぞれの保護者の既読・未読を確認できるので、電話対応を減らすこともできます。
また、Comiruには先生たちの管理業務の負担を軽減するさまざまな機能があります。
例えば、成績の管理はとても手間がかかる業務でしたが、これを大幅に改善する機能を備えています。学校の定期テストの成績だけでなく、内申点や外部模試の成績推移を表やグラフで管理でき、面倒なテスト結果の回収も、保護者に学校のテストや内申点の入力を依頼することで解決できます。また、生徒ごとの成績推移だけでなく、学校ごとの成績管理もできます。
これらの成績データを蓄積することで、生徒の学習目標の設定等が容易になり、そこに講師の経験を合わせることで、より質の高い指導を行うことが可能となりました。
Comiruを導入した秀英予備校では、導入前の2019年4月から12月と、導入後の2020年4月から12月の退塾者数を比較すると、導入後は約3割減少しているという結果が出ています。これはComiruを導入し活用することで、保護者との良好な関係が保たれ、満足度の高さにつながった結果と言えるでしょう。
atama+は、全国2,600以上の塾で採用されている、AIを用いた学習システムです。「人間では不可能なレベル」で一人ひとりを分析し「専用のカリキュラム」を提供。“超”オーダーメイド学習を実現しています。
授業中は、タブレットを通じて全生徒の学習状況がリアルタイムで先生のもとへ届きます。先生はそれをもとに一人ひとりの進捗を把握し、きめ細かく指導することが可能です。例えば、ある生徒が「この問題に大幅に時間がかかっている」「解説を読み飛ばしている」「固まっている」などの情報をふまえて、生徒が自分から言いだせなくても的確にサポートし、常に「考えている」状態を生み出しています。
また、塾に通っても授業は週に2日程度で、それ以外の日は家庭学習になります。atama+は、塾での学習データをもとに、プロの先生が自宅や自習室の勉強もサポート。「塾で何をやるか」「家・自習室で何をやるか」も含めトータルで考えてくれます。
atama+の活用に加え、生身の先生が生徒の性格を把握することで「最先端技術」×「人の眼・やさしさ」による「究極の面倒見のよさ」を実現することができます。
では、個人で経営しているような小規模なスクールや学習塾では、どのようにDXを活用していけばいいのでしょうか?
株式会社地域新聞社ではスクール業界のデジタル化に関するアンケートを実施し、企業側とユーザーが抱えている課題について回答を得ることができました。
※アンケート実施期間:2021年9月16日(木)~26日(日)企業側22件、ユーザー676件
アンケートの結果、企業側は「決済関連」や「総務関連」がアナログな業務で時間がかかる、精度が低い、といった問題を抱えていることが分かりました。
また、既にDX化に取り組んでいる項目としては「広告・販促」をあげる企業が最も多く、次いで「顧客管理」や「決済関連」のデジタル化を導入している現状も分かりました。
これから先DX化を進めていきたい項目としては「広告・販促」「顧客管理」をあげる企業が多く、重要度の高い集客と顧客満足度アップに対してより効果的にDX化を推進したい、という企業の思惑がうかがえます。
その一方、子どもをスクールに通わせたり自身が通ったりしているユーザーが、習い事においてもっと便利になるとよいと思っていることは「成長記録が見られる」ことでした。それによってモチベーションが上がり、より前向きに習い事に取り組むといった効果が期待できます。
また、インターネットを利用して習い事探しを行うユーザーは利用者の声を注視する方が多く、第三者のリアルな声は比較検討段階における決め手になります。
これらのことから、企業側とユーザーのどちらも課題としてあがったのは顧客管理(CRM)でした。顧客、すなわち生徒の詳細な情報を管理することで、企業側もユーザーにも大きなメリットが生まれます。つまり、顧客管理は小規模なスクールや学習塾が最初に取り組むべきDXである、と言えるでしょう。
なお、アンケートの詳細な内容については、こちらから確認できます。あわせてご参照ください。
新型コロナウイルスの感染拡大は、社会の仕組みを大きく変化させました。
人と人との接触を極力減らすことが求められ、そうした制約下でも社会生活を可能にするデジタルサービスへの需要が高まりました。コロナ禍がなければ数年はかかったかもしれない「オンライン授業」や「テレワーク」といった環境の変化が、半年から1年の間に一気に進みました。
これからの社会はオンラインのメリットとデメリットをてんびんにかけた上で、DXをより柔軟に幅広く活用していくことが求められます。そして、それは学習塾業界においても同様です。DXを活用することは、学習塾側と生徒・保護者側、双方に大きな利益と満足度を生みだします。何から取り組むのか、しっかり検討した上で活用しましょう。
株式会社地域新聞社では、お客様の課題を解決するためのサービス開発や、解決できる会社をご紹介するネットワーク網の構築を急ピッチで進めております。集客に限らず「こんなことできない?」といったお悩みがあればどうぞお気軽にお問い合わせください。
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