最近では、独自の社内制度やユニークな取り組みを行っている企業が増えてきました。
・購入制度…何かを購入する際に補助金が出る制度
ゲーム制作会社の株式会社レベルファイブでは【ゲーム購入金補助制度】、ソフトウエア開発会社のChatwork株式会社では【最新デバイス購入支援制度】を取り入れています。それぞれ、単純にうれしいのはもちろん、自社製品の開発にも役立つ、一石二鳥の制度ですね。
・復帰制度…退職後、指定年数以内であれば復職できる制度
サイボウズ株式会社には【自分休暇制度】、株式会社croozには【CROOZ号乗船往復チケット】があり、退職した企業に再度戻ることができます。
このように、ユニークな社内制度があるというだけで、その企業に興味が湧いてきますよね。また、実際に働いてる従業員も面白い社内制度のおかげで、モチベーションが上がったり働きがいが高まるでしょう。
当サイト、販促の大学の運営会社である
株式会社地域新聞社では、2008年より
「ありがとうカード制度」という取り組みを導入しています(インセンティブ制度の一種)。他にもユニークな制度として、社員の心身のリフレッシュと能力向上を目的とした【カフェテリアプラン】があります。
今回は制度導入後10年以上が経過した、「ありがとうカード制度」についてご紹介いたします。
【目次】
1.そもそも「ありがとうカード」ってなに?
2.制度導入のメリットは?
3.地域新聞社の「ありがとうカード制度」導入のきっかけ
4.地域新聞社の「ありがとうカード制度」のルール
5.まとめ
そもそも「ありがとうカード」ってなに?
一般に「ありがとうカード」とは、同じ会社・同じお店の従業員の人に対し、感謝の気持ちを伝えるためのメッセージカードです。何かうれしいことがあったり、感謝したり、助けてもらったりと、誰かに「ありがとう」という気持ちを感じたとき、このカードに「いつ・誰に・何に感謝したのか」を書き、相手に届けます。
細かなルールは企業によって異なると思いますが、「『ありがとう』という気持ちを相手に届ける取り組み」ということは同じです。
特に規模の小さい会社やお店だと、比較的簡単に取り入れることができるのが「ありがとうカード」の良いところです。シフト表やロッカー、タイムカードなどに貼って届けてもいいですね。ちなみに、
日本創造教育研究所(日創研)では「心にのこるありがとうカード」を複写式のメモ用紙として販売していますので、このようなツールを使ってみるのも良いでしょう。
当社では制作スタッフのデザインスキルを生かした、独自のデザインのものを使用していました(2019年に紙ベースのカードは廃止。現在はクラウドアプリ「THANKS GIFT」を使用しています)。
「先日は業務フォローありがとう!」「飲み会の幹事ありがとう!」など、業務に関わることから業務外のことまで、相手に対して会社の役に立っていると感じた「ありがとう」ならとにかくなんでもOK、というのが当社のルール。それまでは同じ社内にいるのに顔も知らずにやり取りをしていたり、いつもお世話になっているのに、直接会ってあいさつしたこともなかったり、なんてことが少なからずありました。上司や先輩、後輩、他部署の人、パートさんなど、誰に送っても良いというルールなので、直接会ったことがない社員同士でもコミュニケーションを深めることができるようになりました。
制度導入のメリットは?
「ありがとうカード」をきっかけにしてコミュニケーションを深めていけば、従業員同士の理解が深まったり、チームとしてのパフォーマンスが上がったりするのではないかと考えられます。「ありがとう」をもらったり、褒められたりしたら、誰だって悪い気はしないですよね。「ありがとう」を送り合い、お互いを褒め合い高め合うことで、社員のモチベーションが向上して、気持ちの良い職場環境につながるのではないでしょうか。
・社員同士の理解・信頼度が深まり、チームワークが向上
・チームでも個人でもパフォーマンスが向上
・お互いを認め合うことでモチベーションアップ
・良好な人間関係による職場の雰囲気改善
このように、「ありがとうカード」を取り入れることによって、会社が1つのチームとしてまとまり、さらに良い組織として成長することができるのです。
当社では社内の雰囲気が良くなった、社員同士のコミュニケーションが良好になった、などうれしい声が多数聞かれるようになりました。
地域新聞社の「ありがとうカード制度」導入のきっかけ
当社がありがとうカードの導入を決めた2008年ごろは、今よりも成果主義に偏った評価制度になっていて、営業なら数字さえ達成すれば良い、という風土がありました。
しかし、成果主義だけだとチームとしての団結力に欠ける、新人が育ちづらいなどのデメリットが目立ち始め、会社としても長期的に人を育てていく必要性を痛感するようになりました。
当社の経営理念の1つである「人の役に立つ」を実践し、お客様だけでなく、チーム内のメンバー同士や関わる全ての人に良い影響を与えている人を評価したい。また、一人ひとりが感謝の気持ちを積極的に伝え合うことで、パートさんやアルバイトも含めた社員全員で好循環を生み出していこう。普段はなかなかスポットライトの当たらない人、成果が出なくてもコツコツと頑張っている人、人の役に立とうとしている人、協力してくれる人も評価できる制度はないかと考え、「ありがとうカード」にたどりついたのです。
一人ひとりが感謝の気持ちを積極的に伝え合い、従業員全員で好循環を生み出していく、ということが地域新聞社流の「ありがとうカード制度」の目的になります。
この制度を導入することによって、「ありがとうの見える化」「職場の雰囲気が良くなる」「評価を定量化できる」などのメリットが当社の経営理念である「人の役に立つ」に繋がり、個人の能力や業務プロセス、人物評価などがしやすくなりました。
地域新聞社の「ありがとうカード制度」のルール
せっかく「ありがとうカード制度」を取り入れるのであれば、長く運用したいものです。きちんとルールを定め、社員全体で取り組んでいきましょう。制度を取り入れるだけで、目的も方針もないまま、だと結果継続できずに失敗に終わってしまいかねません。
当社では月に1回、上長より「ありがとうカード」についての声掛けがありました。ただ書くだけではなく、自分や相手の評価につながるインセンティブ制度になっていることもあり、社員一人ひとりがしっかりと意識することができ、その結果、10年以上も続けてこられたのだと思います。
2019年現在では書きたい人だけが書く、という結果にならないように、
・ポイント獲得数最多数者の発表(インセンティブあり)
・ポイント数の給与反映
・ランキング集計(THANKS GIFTアプリ内自動掲示)
これらの3つを取り入れています。
「ありがとう」にはポイントが付き、獲得年間合計ポイント数が自身の評価につながります。正社員やアルバイト・パート問わず、ポイント獲得数1位~3位の社員は、半期に一度、全従業員の前で表彰されます。また、全社で模範とすべき内容のものや、カードをもらった枚数の多い人を、毎月「ありがとう新聞」と呼ばれる社内報で紹介していました。
2019年以前の紙ベースの「ありがとうカード」では、上長のチェックが入った後、全社員が書いたものが一度総務部に集められました。そして、ポイントが集計されたのち仕分けされ、各社員の手元に届けられるというシステムでした。しかし、紙カードでの運用は、社員数200名以上の当社では上長や総務部の大きな業務負担となっていました。そのため、業務効率改善の観点から、クラウドアプリを導入した場合のさまざまなメリット・デメリットを検討した結果、紙カードの廃止が決まりました。
2019年よりポイント集計も自動で行うことができる、クラウドアプリ
「THANKS GIFT」を活用することになりました。業務効率アップという効果だけではなく、今まで1~2カ月後に手元に届けられていた「ありがとう」が、クラウドアプリによってリアルタイムで届けられるようになりました。実を言いますと「THANKS GIFT」導入前は時間差が大きかったので「これってどんな案件だっけ?」とか、「相手が退職しちゃってる!」なんてことがあったのです(笑)。
「ありがとう」が送られると、もらった側にも通知メールが届くので、よりタイムリーに確認することができるようになりました。タイムリーな確認によって、以前よりもずっと社内のコミュニケーションが活性化されてといるという実感があります。お客様に怒られたり、失敗してへこんだりしたときなどに「ありがとう」が届くと、それだけで元気になれます。パソコンだけでなくタブレット端末やスマートフォンからでも書いたり見たりできるので、紙カードよりももっと気軽に「ありがとう」を送り合えるようになりました。
また、毎月発行していた社内報「ありがとう新聞」も同時にデジタル化され、「THANKS GIFT」内のフォトアルバム機能を活用してWeb上に公開され、公開時には全社員に通知メールが届く、という仕組みになっています。
まとめ
今では、多くの企業で「ありがとうカード」が導入されています。これによって、社員のモチベーションと社内コミュニケーションの向上が見込めるでしょう。
誰かがどこかで自分の言動を見てくれていて、それを褒めてくれるというのは、非常にうれしいことです。どんな仕事も自分ひとりではできず、他の人のサポートがあってこそ前に進めるのだということを常に感じられる環境の方が、より高いモチベーションで仕事に取り組めます。
社員のモチベーションを高めたい、社内間のコミュニケーションを円滑にしたい、他部門や他店舗との関わりを強めたい。そんなときは、感謝の気持ちを伝える「ありがとうカード」を導入してみてはいかがですか?