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小売店などを経営していれば、誰もが考えるマーケティング戦略。
今はFacebookやTwitter、Googleアドセンス等を用いたWeb広告が主流になりつつありますが、どの地域にターゲティングするかを正確に分析することで、費用対効果の高い戦略を練ることができます。
また、新規出店エリアの選定においても、大事になってくるのが各地域における複合情報。
今回は、地域を分析する上で役立つツール【GIS】について説明いたします。
GIS(地理情報システム)とは、情報や事象を地理情報としてコンピュータ上の地図に表現して分析するシステムです。
地域ごとの人口密度や平均気温、バス停や保育園、スーパーの位置など、あらゆる情報をマップ上に表示することが可能です。
ビジュアルでそれぞれのデータの関連を把握できるので、文字や数値だけで見るよりも全体像を把握するのに有効です。
GISを使うことで、業務効率化を図ったり、迅速でより正しい意思決定をしたりすることが可能になります。
具体的にどのようなことができるのか、事例をご紹介しましょう。
・新規出店エリアの検討材料になる
GISの基礎データとして、国勢調査や経済センサスの事業所データなどがあります。
それらを用いると、地域ごとの人口分布、人口増減率等を網羅的に把握することができます。
例えば20代女性をターゲットにした小売店の出店を検討する場合、そうした女性が多く住む地域が出店にふさわしい場所になります。
GISを用いれば、どの地域が該当するのかをマップ上で把握することができます。
具体的な場所をピックアップすることが可能になるので、地価の高い駅前でなくとも、客数の多い穴場物件を探すことができるようになります。
・効率のよい営業ルートを作成できる
GIS上では、任意のデータをマッピングすることが可能です。
例えば、ドラッグストアに営業をかけたい場合、ドラッグストアの一覧データをGIS上にマッピングします。
どの順番でドラッグストアを訪れると効率が良いのかを分析することで、よりスムーズに営業をすることが可能になるかもしれません。
・売上UPの戦略検討に役立つ
住所の分かる顧客リストがあれば、GIS上でマッピングすることが可能です。
顧客の多い地域、少ない地域が一目瞭然になります。
例えば、店舗から近いのに顧客が少ない地域があるとしましょう。
なぜその地域の方々にニーズが無いのか、他のGISデータを組み合わせることで、これまで想像するしかなかった問題点を、より具体的に検討できるようになります。
「近隣のライバル店に顧客を取られている」「通勤経路上に無い」など、理由が明確になることで対策を立てやすくなるのです。
GISは一般的なパソコンがあれば、誰もが利用することができます。
パソコンに【GISアプリケーション】と呼ばれるアプリをインストールして設定。
あとは、必要なデータをインターネットから取得すれば、使えるようになります。
もちろん、顧客データやライバル店のリストなど、自分で作成したデータをGIS上にマッピングすることも可能です。
GISアプリケーションには、無料のものと有料のものがあります。
初めてGISを使うのであれば、【QGIS】と呼ばれる無料ソフトが日本語に対応しているのでおすすめです。
GISがどんなものかイメージがわかない、難しそうだ、と感じる方は、まず【ウェブGIS】を利用してみましょう。
インターネット上で機能するGISシステムで、初期設定は不要です。
国土交通省が提供している【国土情報ウェブマッピングシステム】や、総務省が提供している【地図で見る統計】が分かりやすいです。
GISのデータも、無料のものと有料のものがあります。
無料のデータだから質が悪い、ということはありません。
地方公共団体や大学等の研究機関が作成したデータには無料で公開されているものが多く、汎用性も高いです。
公共機関が提供している代表的なデータをいくつかご紹介しましょう。
・国土地理院 基盤地図情報
名前の通り、データをマッピングする上で基盤となる地図情報を提供しています。
地図情報は、民間、公共団体がそれぞれ作成しているので、細かい部分の整合性がとれなくなってしまうことが多々あります。
国土地理院では、マップで生じる差異をなくすべく、共通の地理空間情報を提供しています。
・総務省統計局 政府統計の総合窓口
国勢調査、経済センサス、農林業センサス、事業所・企業統計調査を提供しています。
特に国勢調査は人口関係の情報が豊富に含まれており、有益です。
・国土交通省 国土数値情報
1/25000地形図をベースに、地形、地価、政策区域、災害、施設、観光、自然、交通など、様々なGIS情報を提供しています。
商圏分析で利用できるデータが豊富に揃っています。
・国土政策局 位置参照情報
街区単位の位置座標を整備したデータです。
このデータを利用することで、住所などを含む表や台帳データに緯度・経度などの位置座標を紐付けることができ、GIS上での分析に役立ちます。
農林水産省や気象庁などといった各省庁、都道府県でもGIS情報を扱っていますので、必要な情報を探してみてください。
GIS上で住所を扱う場合は、住所を緯度・経度に変換する必要があります。
そのためには、東京大学の【CSVアドレスマッチングサービス】や、埼玉大学の【Geocoding and Mapping】などのサービスがあります。
プログラミングの知識は一切不要。
顧客リストや店舗リストの住所変換等に利用してください(個人情報の流出には十分に気をつけてください)。
GISの登場と公共機関によるビッグデータの公開により、素人でも地理情報を用いたマーケティングを簡単に行うことができるようになりました。
はじめはアプリケーションの操作に煩わしさを感じるかもしれませんが、業務効率化や意思決定の強力な味方になるはずです。
是非、活用してみてください。
■参考文献
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