【業界研究】学習塾業界のトレンド情報~2021年調査版~

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ビジネスで適切な判断を下し続けるには、業界のトレンドをつかむことが重要です。

今回は学習塾業界の現状と今後の見通しについて、「販促の大学」を運営している地域新聞社に2021年4月に入社した新卒社員とマーケティング部が調査しました。おすすめの販促方法もご紹介しますので、学習塾業界の方も、それ以外の業界の方も、ぜひご一読ください。

【目次】
1.学習塾業界とは
2.市場規模
3.業界の動向
4.業界売上高ランキング
5.繁忙期と閑散期
6.年間販促カレンダー
7.おすすめの販促
8.学習塾の求人
9.業界の問題点と今後
10.まとめ
11.関連資料

学習塾業界とは

まず、学習塾とは、主に義務教育課程又は高等教育以上の課程にある児童・生徒に対して、学校における公教育とは別に学習指導や進学指導を行う教育施設を指します。

♦学習塾の種類
学習塾は、その学習内容と目的によって大きく分けて4つに区分することができます。

進学塾
難関校合格など入学試験に特化した塾を進学塾と言い、入試から逆算した年間スケジュールで学習が進行するのが特徴です。

補習塾
学校の定期テスト対策や学校授業に合わせて補習を行います。そのため、学校成績や内申点をあげるための指導が行われることが一般的です。

総合塾
以上の進学塾と補習塾の2つの役割を兼ねそなえた塾を総合塾といいます。

専門塾
目的や学びたい科目を絞りそこにのみ特化した指導を行う学習塾を指します。
 ※ 科目特化型:英語科目塾、理科科目塾、理系専門塾など
 ※ 学校特化型:東大入試専門塾、医学部入試専門塾など
 ※ 能力開発型:そろばん塾、速読塾など

♦学習塾の指導方法
学習塾では学習指導の方法も以下のように区分することが出来ます。

集団指導型:5~50人程の生徒に対し抗議型で授業を行う。
個別指導型:講師1人につき、生徒1~3人で授業を行う。
自立学習型:プリントや参考書を用いて問題を解き不明点を講師に質問する。
映像授業型:あらかじめ録画された講義映像を視聴し、学習を行う。

このように、学習塾と一口に言ってもその形態は多岐に渡ります。

また、家庭教師は生徒に対し学習指導を行うという点で学習塾と同じ目的を果たしますが、生徒の自宅に先生を派遣するという仕組みです。そのため、教育業界に属するという面では一致しますが、教育業界の中の学習塾業界という枠組みからは外れます。

市場規模

2019年度の学習塾業界の市場規模は、1.1億円。売上高は前年比15.3%増で推移しています。利用者数は前年比19.3%増の372万人です。生徒数は毎年上下する一方で、売上は年々増加しています。


(引用:業界動向サーチ)

2019年度に個別指導塾が大きく業績を伸ばしていることが分かります。

業界の動向

日本は世界有数の少子高齢化社会にも関わらず、学習塾業界が業績を伸ばしている理由のひとつに、子供ひとり当たりにかける学習塾費の増加があります。

(引用:文部科学省 子供の学習費調査を元にグラフを作成 )

グラフを見ると、特に公立の幼稚園~小学校層がその数字を伸ばしていることが明らかです。また、ひとりにかける学習塾の単価が上昇した分、学習塾が求められるサービスの質も高くなる傾向にあります。そこで、集団塾と個別指導塾の平均的な授業料を比較すると以下のようになります。

(引用:StudySearch【最新版】塾の費用|平均費用(料金)や月謝や教材・講習費は?を元に表を作成)

このように個別塾は、授業料・入会金共に集団塾よりも1万円程高額であることがわかります。このようなことからも、費用が高くついても個別指導型のような、オーダーメイド型の授業が選択されている塾業界の流れを掴むことが出来ます。

業界売上高ランキング

株式上場している学習塾・予備校を運営する企業のうち、売上高ランキングTOP10は、以下の通りです。

※2020/02/26現在
(引用:Education Careerを元に作成)

売上高ランキング1位は、ナガセ。『東進ハイスクール』や「四谷大塚」を運営する企業です。2位はリソー教育。『TOMAS』などを運営しています。直近3年間連続で増収です。3位は早稲田アカデミー。難関校への合格実績を売りに、生徒数を伸ばしています。

繁忙期と閑散期

学習塾の繁忙期は、大きく区分すると以下の3つです。
春期講習(3~4月)
夏期講習(7~8月)
冬期講習(12~1月)

さらに細かく区分すると、各学校の中間テストや期末テストなどの、定期テスト前後と入試シーズンが繁忙期といえます。

逆に、学習塾業界の閑散期は秋季(9~11月)といわれます。学生の長期休みがないため、新規募集がかけづらい傾向にあります。学習塾業界の繁忙期と閑散期とは生徒の年間スケジュールと連動しているため、商圏となる地域の学校の年間スケジュールを把握することは必須です。

そのため、既存の生徒や保護者に声をかけて学校から配布される年間スケジュール表を回収し、必ず控えておきましょう。新規校舎の場合は学校に直接問い合わせるか、学校のホームページに掲載されていることもあるので確認をとりましょう。

年間販促カレンダー

以上のことを踏まえ、学習塾業界の年間販促カレンダーを作成するとこのようになります。

ここで注意すべき点は、学生の年間スケジュールが、2期制(通知表の結果が前期と後期で区分され提出)または3期制(3学期制で、各学期で通知表の結果が提出)といったように、地域や学区によって異なるということです。そのため、一概に年間スケジュールを組むことはできません。必ず商圏となる地域の学校年間スケジュールを事前調査しましょう。

おすすめの販促

商圏となる地域の学校年間スケジュールを把握してからは、具体的にどのように販促を進めていけばよいのでしょうか。

◆保護者は、どのようにして塾を探す?

(引用:コエテコ個別指導)
まずは、保護者がどのようにして、塾選びを行うかを見ていきます。

個別指導塾検索サイト、コエテコ個別指導が行った学生(小学生~専門・大学生)の子供をもつ30代~50代男女に向けた調査によると塾を探す方法として、「知人・友人からの口コミを聞いて」が65.8%、と圧倒的なパーセンテージを占めていることが分かります。次に「家に届くチラシを見て」で30.5%、「WEBの塾検索サイトを使って」が12.8%と続きます。この結果から、学習塾の販促では口コミが最重要項目であることは明らかです。そのため、学習塾を運営するにあたって口コミや友人紹介を強化していくことが得策と言えます。

しかし、ここで忘れてはいけないのは、学習塾とは、保護者が大切な子どもを預ける場所であるということです。そのため、1つだけの要因で入塾を判断することは稀なケースと言えます。実際、保護者は届いたチラシを見てから、ホームページを調べたり、ママ友同士で口コミを共有したりするなど、いくつかの工程を経てから入塾を決断するケースが一般的です。

そのような、消費者が購買に至るまでのプロセスの頭文字をとり、『ORACAS』と呼びます。そんな『ORACAS』を学習塾に当てはめると以下のようなロールモデルが出来上がります。

 ・Occasion(きっかけ):子供の成績が下がったから、学習塾を検討したい
 ・Research(調査):ネットで地域の学習塾を検索
 ・Advocate(推奨):ネットで見た塾の口コミをママ友にうかがう
 ・Convince(納得):口コミを聞いた塾で授業体験や説明会で検討する
 ・Action(行動):入塾を決める
 ・Share(共有):実際に入ってみて、子供の変化や感じたことを友人共有。またAdvocate(推奨)につながる。

以上のように、滞りなく消費者に購買を決定してもらうためには、複数の販促を同時進行で行うことが必要だということがわかります。

(参考:販促の大学 ORACAS を元に図を作成)

◆学習塾のおすすめ販促

ここからは、学習塾選びの方法TOP3に上がった販促についてそれぞれ考えます。

●紹介・口コミ
学習塾業界で、最も優れた集客手段として挙がるのは、紹介と口コミです。学生と保護者にとって、既に友人や知人が入塾しているというのも塾選びの際の大きな判断材料となります。そのため、口コミを促す機会を積極的に作っていくことは、重要な販促方法の一つです。

口コミを促すにポイントは以下の2つが上げられます。
①サービスに対する顧客満足度を上げる。
そもそも提供されるサービスに不満があっては、紹介や口コミを促すことは出来ません。サービスの質を見直すためには、学期ごとに生徒や保護者へ向けたサービスに対するアンケート調査を行い現状の満足度の測定と、改善点を常にうかがいましょう。また、その結果を受けて、従業員へのフィードバックを行うことも重要です。

②紹介割引などの紹介による特典やメリットを提供する。
友人紹介を促すために、友人紹介をすることによるメリットを提供することは学習塾業界ではよく利用される手法です。友人紹介をした場合、紹介側と紹介を受けた側がともに講習料金の割引を受けることができるなど、双方に明確なメリットとなる特典を付けることが有効です。
また、直接保護者に口コミや友人紹介を促す機会として、学期替わりや講習前の保護者面談を生徒の塾での様子を伝えると共に利用するのも良いでしょう。

しかしその一方で、口コミには限度があるのも事実です。口コミを促すことは大切であるのは明確ではありますが、口コミとその他販促を同時進行させることが最も有効です。

●チラシ
チラシは学習塾業界では一般的な広告手段のひとつです。

夏期講習や春期講習など、保護者や学生が入塾を考えるタイミングに期間や商圏を限定して告知を行うことができます。また、チラシの配布方法は、大きく分けると自社配布、ポスティング業者配布、折込チラシ配布の3つがあります。

① 自社配布
自社配布では、商圏となるエリアに自ら配布を行うことで、確実にターゲット層の手元へチラシを届けることができるのが最大のメリットです。また、ターゲットとなる学校付近で、直接講師が街頭配布を行うことで、どのような先生が居るのかを生徒に知ってもらうことが出来ます。

一方で、配布そのものに手間がかかるため、大規模な配布を行えないことがデメリットです。また、街頭配布を行う場合には、所轄警察署に「道路使用許可申請」を行う必要があります。

② ポスティング(業者委託)
ポスティング業者へ依頼をするチラシ配布は、自社配布に比較して、期間とエリアを絞って大規模な配布を行うことができることがメリットです。

一方で、自社配布のように、ターゲットの手元のみにチラシを届けるということは不可能です。そのため、ポスティングでの配布の際は、どれだけ的確なエリア選定を出来るかがその費用対効果をあげる重要事項となります。

③ 折込みチラシ
折込みチラシとは、新聞やその他フリーペーパーなどの他媒体の間にチラシを挟み込んで配布する方法です。ここでのメリットは、挟み込む媒体の読者層が学習塾とマッチしていれば、チラシの効果を向上させることが出来ることです。逆に読者層とのミスマッチが起こるとチラシの効果を存分に発揮することが出来ないので、挟み込む媒体の下調べは重要です。

チラシでの告知を行う場合は、これらの配布方法の違いを比較して、
ターゲットと配布枚数にあった配布方法を選ぶことが大切です。

●ホームページ・SNS
ホームページやブログ、SNSなどは、近年では多くの学習塾が実際に販促ツールとして使用しています。ホームページやSNSでは、常に告知を掲示することができ、情報を自身で調整・修正可能なため、塾の雰囲気を発信しやすくなります。また、そのまま問い合わせに誘導がしやすいのもメリットです。

一方で、ホームページ上の販促は継続をしなければ効果が出にくいことや、そもそもターゲットに検索をされないかぎり告知ができないというデメリットもあります。

学習塾の求人

正社員としての塾講師の募集は、集団指導塾に多い傾向があります。もちろん個別指導塾でも正社員の塾講師募集は存在しますが、集団指導塾と比較すると、実際に授業を行うより、教室運営が業務の中心になることがほとんどです。よって、個別指導塾では塾講師採用のほとんどがアルバイト契約となります。

このように、指導方法によって雇用形態の傾向に違いはありますが、求人の時期は大きく差が開きません。塾業界での採用が行われるタイミングは、小中高生の学期替わりと連動します。その主な理由は、学期中の講師変更によって生徒の学習状況の混乱を避けるためです。

中でも、小中高生の進級と重なる4月は最良のタイミングとも言えます。各学期の採用時期に、間に合うことを逆算して求人を行うのが良いでしょう。

業界の問題点と今後

◆少子化問題と競争の激化
日本では深刻な少子化が進んでいます。子供ひとりあたりの教育費は、増加していますが、子供そのもの母数は減少しています。そのため、学習塾同士の生徒の奪い合いが激化することが予想されます。

学習塾が生き残るためには、サービスの質の向上と他塾との差別化が高い水準で求められています。そのような影響を受けて学習塾業界では以下の2つの動向が今後重視されています。

① コロナ禍でeラーニング市場の拡大

(引用:株式会社矢野経済研究所)

2020年度からの、小学生のプログラミング必修化に始まり、新型コロナウィルスの影響によってeラーニングの導入が急速に拡大しました。矢野経済研究所の調査によると、2020年度の国内eラーニング市場規模は、前年度より22%増の2880億円が見込まれています。これから、eラーニング分野は学習塾業界全体を巻き込む新たな市場となることが予想されています。

② 英語科目の重視化
小学校高学年を対象に、英語の必修化や大学入学共通テストの改定により、英語教育の抜本的見直しが行われているのが教育業界の現状です。そのため、英語学習の需要が高まっていくことが予測されています。

   

(引用:株式会社日本マーケティングリサーチ機構

市場調査や実績調査を行う株式会社マーケティングリサーチ機構が小中高の子どもを持つ母親300人を対象に行った調査によると、子供に英語を学習させたいと考えている保護者は、300人中222人(77%)。その一方で、「学校の授業だけでは英語をはなせるようになると思いますか?」という質問に対し、300人中283人(94%)の保護者が「いいえ」と答えています。以上のようなことから、積極的な英語学習だけでなく学習塾が学校英語授業の不足分を補うという役割としても、需要の拡大が見込まれます。

このように、学習塾業界は国の学習指導要領の改変によって、その運営形態やトレンドが大きく左右されることが分かります。

まとめ

従来学習塾は、内申点の向上や入試突破など点数を獲得することが主なニーズでした。しかし近年では、点数の獲得だけでなく、これからのキャリアや生徒の個性の幅を広げるスキルを獲得することが新たなニーズとして台頭しているのではないでしょうか。

昨今、日本国内の少子化が進み、塾業界の未来を案ずる声を耳にします。しかし、どれほどに少子化が進行しようとも、教育は人々が社会生活を営む上で、必要不可欠であることもまた事実です。そのため、保護者と生徒自身が時代の中で、今どのようなサービスを潜在的に欲しているのかを見定めていきましょう。

その他の業界についてもご紹介していますので、参考にしてみて下さい。

関連資料(2021年7月7日閲覧)

業界動向サーチ
文部科学省 子供の学習費調査
StudySearch【最新版】塾の費用|平均費用(料金)や月謝や教材・講習費は?
Education Career
コエテコ個別指導
販促の大学 ORACAS
株式会社矢野経済研究所
株式会社日本マーケティングリサーチ機構

 
 

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