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空前の売り手市場といわれる昨今、アルバイトの人材確保に困っている企業が多いという話をよく耳にします。
なんとか採用までこぎ着けても、「長続きしない」「思ったように働いてくれない」など、その扱いに苦慮する企業も。雇用する側にとっては、採用や教育経費のコスト増につながる重大な問題ですよね。
優秀な人材がなかなか集まらない、従業員の能力が十分に発揮できていないと感じる経営者・採用者の方が往々にして陥ってしまう罠が、「もっと優秀な人材を集めること」に力を注いでしまうパターンです。
一般論として、担当者が採用時にチェックすべきポイントとして挙げられるのが、応募者の「スキル」や「学習能力」です。過去にどのような経験をしてきたか、そして本人に学習能力があるか、ですね。
今は「個人の能力」をチェックすることが、採用基準のスタンダードになっています。
労働市場においては、企業側の求人数がアルバイト希望者数を上回っている「売り手市場」が続いています。優秀な人材を集めるならば、他社よりも魅力的な雇用条件を提示することが必至です。
体力のある大きな企業であれば、よりよい雇用条件を提示すること可能かもしれませんが、資金力に限りのある中小企業には厳しい話でしょう。
では、中小企業は「優秀ではない人材」を甘んじて受け入れなければならないのでしょうか。
ここで押さえておきたいポイントは、アルバイト採用の目標を「個人の能力が高い人材を集めること」から「良いチームを作ること」にチェンジするということです。
たとえ優秀な人材を採用したとしても、その人がチームにいることで生産性が下がることが、往々にして起こりえるからです。
例として、サッカーチームを想像してみましょう。突出した技術を持つプレイヤーがいたとして、彼がもらったボールを誰にもパスせず、自分一人でゴールを決めようとし続けるならば、彼にボールを渡すメンバーは次第にいなくなるでしょう。
採用基準として最優先に考えるべきは、チームメンバーと仲良くできる人間性を持っているかどうか、です。
人間性という言葉は抽象的なので、「パスを出せる人、受け取れる人」と言い換えても良いかもしれません。仮に個人の能力がチーム平均に達していなかったとしても、ギブ・アンド・テイクのサイクルを自然に行える人であれば、仲間が彼の能力を引き上げてくれます。
採用において考えるべき一番のポイントは「人間性」です。
では、人間性に優れた人を採用すれば組織はうまくまわるかというと、そうとは限りません。
会社は営利組織です。競争市場の中で勝ち抜く組織として、タフネスさが常に要求されます。
タフネスな組織とはどのようなものなのでしょうか。
分かりやすい例として、ドラマや映画の世界で描かれる組織を想像してみましょう。
戦隊モノや、オーシャンズ11のような物語で繰り返し示されるように、逆境に耐え抜く有能な集団として描かれる組織は、性格も持ち合わせたスキルもバラバラなメンバーで構成されています。
リーダーシップのある人はもちろん必要ですが、リーダーを支えるサブリーダー、特殊技術担当、チームを盛り上げるお茶目な役、リーダーの方針にケチをつけるやつなど、さまざまなタイプがいますよね。
彼らはドラマの筋書きを面白くするためだけではなく、「組織として必要」だからいるのです。
なぜ、一見してチームとしての団結感を生み出さないように見えるメンバーが「組織として必要」とされるのでしょうか。勝つためのチームを作るのであれば、全員がリーダーシップを発揮し攻撃的なメンバーだけを揃えればよさそうなものです。
ですが、実際にそういう意図のもとに作られた組織はタフネスとは程遠い存在です。
サッカーにおいても点を取る「フォワード」ばかり注目されがちですが、フォワードだけではチームとして成立しませんよね。
ボールをつなぐミッドフィールダーも、ゴールを守るディフェンダーも必要なのが会社という組織です。
時にはリーダーの指示を待たずに自己判断で動いたプレイヤーが、ファンタスティックなゴールを決めることも。
それぞれが役割を持ち、最大限に自分の能力を発揮できるチームは、タフネスといえるでしょう。
これは、攻めることだけを想定するのではなく、平時におけるパフォーマンスの高さや、劣勢に回ったときの粘り強さを意識した組織形態がいかに重要かを示しています。
効果的な採用基準の一つは、「攻撃力の高い人よりも守備力の高い人を優先的に選ぶ」ことです。
リーダーシップを発揮できる人材が求められる昨今、リーダーシップ以外の能力が備わった人材を見つけることが難しくなったように思います。
特に毎月課金をしていくようなストック型ビジネス(コワーキングスペース)においては、お客様の新規獲得よりも、一人のお客様に継続してご利用いただくことが重要です。
毎日の掃除や事務処理といった、目立たない仕事を淡々とこなしてくれるフォロワーシップに優れた人材が組織にいることが、経営する上でとても大切なのです。
以上のようにチーム作りの観点から人材採用を考えると、二つの大事なことが見えてきます。
一つは「パスのやりとりができる人間性を持っている人」を採用すること。
もう一つは「チームメンバーに多様性をもたせる」ように採用することです。
どちらも一朝一夕に成果の上がる方法ではありませんが、一人一人の能力を最大限に引き出すチーム作りは、組織のパフォーマンスを大きく改善してくれるはずです。
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