長谷川和也(詳しいプロフィールを見る)
長谷川和也の最新記事 (記事一覧を見る)
- 今年こそ補助金を活用しよう!『小規模持続化補助金』活用準備 - 2020年4月16日
- いますぐ始めよう!Googleビジネスプロフィール - 2020年2月26日
- ランディングページを作ってみよう - 2020年1月24日
「集客」はあらゆる事業を行う人たちにとって、永遠のテーマといえます。
いかに継続的に集客をし続ける事ができるか、また、明日からの集客に困らない予約が2カ月、3カ月先まで埋まるような仕組みを作れるか、が事業継続の大きなカギとなりますが、なかなかうまくいかず悩んでいる事業者も多いのが現実です。
今回はこの「集客」について、WebやITの側面から考えていきます。
【目次】
1.お客様の気持ちと決心するまでのプロセス
2.お客様の状態を意識した集客方法が重要
3.リピート集客の強化が集客力アップとコストダウンにつながる
4.まとめ
集客とは、あなた(お店や製品、あなた自身)を選んでくれる人をたくさん集めるという事です。
ここではお客様があなたを選ぶ(決心する)までのプロセスについて見ていきます。
◆常に比較されている!
お客様を取り巻く環境は情報過多になっています。
Webで検索すればさまざまな情報が入手でき、InstagramやFacebook、TwitterなどのSNSでは正直なクチコミをいとも簡単に得る事ができます。しかもこのような環境になってから既に何年も経っており、お客様が情報を取捨選択する能力は高くなっています。
何かが欲しい、どこかへ行きたいと思ったとき、多くのお客様は目的のものWeb上で探し、概要や詳細の情報を収集して、さらに比較をするという行動をとります。事業者は比較される事を念頭に置いて、ホームページやSNSでの情報発信をしなければなりません。
◆潜在顧客と顕在顧客
お客様がモノやサービスを選ぶ際の気持ちの変化に注目してみましょう。
お客様には大きく分けて「潜在顧客」と「顕在顧客」の二つの状態があります。
「潜在顧客」とは、まだ必要性を実感していない未来のお客様です。そのため、明確に欲しいもの、必要なものが頭の中には無い状態です。
「顕在顧客」とは、いま欲しいもの、必要なものがあるお客様です。どんな困りごと(課題)を解決したいのか、何が必要なのかが明確な状態です。
どちらに向けて集客をしたいかで、対策が違う事に注意する必要があります。
◆マーケティング視点で見た消費者の購買行動モデル
お客様の気持ちの変化や行動がわかったところで、これらのまとめとしてマーケティングの視点から考えてみましょう。
有名なのが、電通によって提唱されたAISAS(アイサス)というモデルです。これは5段階のプロセスによって構成されおり、それぞれの行動の頭文字をとってAISASと名づけています。
A・・・認知・注意(Attention)
I・・・興味・関心(Interest)
S・・・検索・比較(Search)
A・・・行動(Action)
S・・・共有(Share)
さて、このAISASですが、実際にはどんなシーンに当てはまるのでしょうか。ここでは最近カラダがだるい事が気になるC子さんの行動で見ていきましょう。
最近体調不良に悩まされているC子さんはある広告を目にしました。(Attention)
「自分に当てはまるわ!」と思ったC子さん。(Interest)
「でも、これって本当かしら??」という疑問も感じたので、さっそくホームページや口コミサイトで情報収集を始めました。(Search)
いろいろ調べた結果、自分の症状にもマッチするし、ホームページの情報も豊富で親切な作りである事、WebやSNSの口コミも悪くない事を知って、この広告主である「オーダーメードインソール」のお店へと向かったのです。お店で話を聞いてとても気に入ったC子さんは、早速インソールを注文しました。(Action)
オーダーメードインソールを使い始めて、腰痛も足のむくみも消えたC子さんは、今の嬉しい気持ちを誰かに伝えたくなり、また同じ悩みを持つ人へも教えてあげたくなりました。早速C子さんはSNSでひと通りのいきさつを説明し、このお店を紹介したのでした。(Share)
いかがでしょうか?自分に当てはめてみても納得できる部分が多いと思いませんか?
頻度の差はありますが、一般的にこのような行動をとって購買へと至る人が増えています。この例では、C子さんが初めからオーダーメードインソールを名指しで探したわけではなく、すぐに購入という行動をしていない事にも注目してください。C子さんはたまたま広告を目にして「この症状は自分に当てはまるわ!」と思いました。
そうです。C子さんは潜在顧客だったともいえるのです。
ここまでは、お客様の心理状態や気持ちの変化についてお伝えしてきました。これらは、集客を行う際にどんな方法を取ったらいいのか、どんなツールを使ったらいいのかを決める上で、とても重要です。
次はWebやITの側面から、事業者側で用意する集客ツールがどのようなお客様の状態に適しているかをまとめてみます。
◆ホームページ
事業者にとって、まずは持っておくべきものの一つでしょう。現在では名刺の役目も担う存在となっています。自分の判断の裏付けを得るためや、信用性、信頼性を確認したいためにアクセスする人も多くいます。
・適したお客様の状態
AISASのどのシーンにも使われます。
・活用パターン
①潜在顧客向けとして、SNS広告やディスプレイ広告からホームページへと誘導します。最近は商品購入や申込を促すことに特化した「ランディングページ」という1ページだけのホームページの活用が急速に広まっています。「今すぐ購入」等のボタンがあり、TVショッピングの内容を落とし込んだような作りのものが多いです。
②顕在顧客向けとして、リスティング広告やSEO対策からホームページへ誘導します。
③人材募集用として、リスティング広告や人材募集サイトからホームページへと誘導します。簡易ホームページでは決まったフォームでの情報公開のため、特別なことを伝えるのは難しいですが、自社ホームページであれば特長はもちろん事業や商品にかける思いや仕事仲間を自由に公開できます。
・注意点
ホームページはあるだけでは意味がありません。まずは見てもらう工夫をすることです。時代によってはやりのデザイン(SEO対策的に有効なものも含む)はありますが、見た目だけにこだわらずホームページとしての役割が果たせる作りになっているかに注意しましょう。少なくとも月1回程度は更新しましょう。作って終わりではなく、作ってからが始まりです。
◆SNS
国内でもユーザ数が日々増えており、個人事業主から大企業までSNSを使ったイメージ戦略や集客が一般的になりました。最近ではInstagramが急激に伸びています。通常の投稿だけではなく、SNS広告を使う事業者も増えてきています。またYouTubeだけではなく、FacebookやInstagramでも動画広告が急増中です。
・適したお客様の状態
潜在顧客向けとして、AISASでは認知・注意(Attention)と興味・関心(Interest)のシーンで用いると効果的です。また既存顧客(特にロイヤルカスタマー)向けとしては、共有(Share)のシーンで活用してもらえます。
・活用パターン
①潜在顧客向けにSNS広告を配信するところから始まります。広告からホームページや「ランディングページ」に誘導した後に、販売、予約、メールや電話などの情報入手につなげます。
②既存顧客が自身のアカウントで共有(Share)するところから始まります。いいね!で拡散していき、他の潜在顧客の認知・注意(Attention)と興味・関心(Interest)につながります。
③Facebookのグループなどでコミュニティを作り、ロイヤルカスタマー等と事業者が情報交換・共有する場にします。
・注意点
SNSではあからさまな広告宣伝、売込みは好まれない傾向にあります。投稿記事などでは売り込みではなく、知って得する内容やイベント準備の報告などにとどめ、売込み要素を減らす工夫が必要です。フォロワーが多ければ、アンケート等を行い、商品やサービスに結果を反映するのも効果的です。それぞれのSNSの特徴に合わせた使い方をしましょう。
◆スマホアプリ(お店や企業の公式アプリ)
ファストフードやコンビニ、大手企業などはスマホアプリ活用が急増中です。
最近では比較的リーズナブルに公式アプリを持てるようになっていますが、中小企業や個人店舗ではまだ参入者が少ないため、今からでも導入すればライバルに差をつける事ができます。スマートフォンの利用率の上昇と共に、ますます公式アプリが一般化することが予想され、自社で保有するメディア「オウンドメディア」用や顧客管理用のツールとしての活用が今後増えると思われます。「オウンドメディア」の代表としては、自社ドメインのホームページやブログ、スマホのホーム画面にオリジナルアイコンが表示される公式アプリがあげられます。
・適したお客様の状態
既存顧客向けで、特にリピート集客の強化に活用すると高い効果が期待できます。
・活用パターン
①スタンプ機能やクーポン機能を使ったリピート促進から、常連客を醸成します。
②顧客管理機能を使い、特定のお客様へプッシュ通知による個別メッセージを送ります。例えば、9月生まれの30代女性のお客様に女性限定商品の割引クーポンを、誕生日特典として誕生日前月に自動的に贈る、といった運用をしています。届けたい情報を届けたい方に、届けたい時に提供することができます。
③ブログとしてお役立ち情報を発信します。アプリ以外では得られないようなコアな情報やお得な情報などに向いています。
④開封率が高いプッシュ通知を効果的に活用して、直前や当日の突発的な状況連絡に利用しています。例えば、雨の日サービスや予約キャンセルに伴うスケジュール穴埋めの連絡用として活用します。
⑤ファン育成ツールとして活用します。スマホのホーム画面にオリジナルデザインのアイコンが使えるアプリ限定ですが、画面上に常に企業やお店のロゴがあるとザイオンス効果(単純接触効果)により、企業やお店への愛着が深まります。
・注意点
ホームページやSNSよりも、さらにお客様に近いツールであるため、プッシュ通知を送る時間や頻度に注意するなどの配慮が必要です。スタンプ機能を上手に活用して、非通知設定やアプリ削除をされないような工夫を心掛ける必要があります。
※スマホアプリについては「急げ!スマートフォン対応」の記事も参考にしてください。
ここでは、リピート集客と集客コストについて考えます。みなさんは、一般に企業やお店は新規集客とリピート集客のどちらに手間とコストをかける傾向があると思いますか?
答えは新規集客です。
新規集客はお客様があなたの企業やお店の存在すら知らない状態で行います。ましてやお客様は必要性を全く感じていない場合もありえます。この状態から、AISASの認知・注意(Attention)、興味・関心(Interest)、検索・比較(Search)、行動(Action)まで進めなくてはなりません。
ではリピート集客はどうでしょうか?
リピート集客は、一度でも購入したり来店したりしたお客様を対象とする施策なので、新規集客で必要なステップを省く事ができます。アプリやメール登録をしてもらえれば、直接連絡をとる事もできます。
さらにリピート集客を強化するメリットは、売上の予測をが立てやすいという点です。定期的に通ってくれるお客様であれば売り上げも推測しやすいですし、次回の予約ができる仕組みを導入すれば、さらに正確な予測ができます。
またリピートをするお客様は良い口コミを広げてくれるという効果も期待できます。
こちらの図はかなり極端な例ですが、毎月200人のお客様が必要だと仮定し、新規のお客様の10%が毎月リピートしてくれているという条件でグラフを作成したものです。
毎月のリピート集客を強化する事で、新規集客の必要が減っていくのが分かります。売り上げの予測が高くなることに加えて、新規集客にかけている広告・宣伝費用の削減の裏付けにもなります。
では、リピート客を増やすためにはどうしたらいいのでしょうか?集客方法という観点から2つの方法をご紹介します。
①リピート集客の仕組みをつくる
アプリやSNS、メールなどを総合的に活用した仕組みづくりが重要です。
②新規集客する際に、リピートしてくれそうなお客様へ向けて集客をする
リピート集客は新規集客をする時から始まっています。
どんな人たちに向けて新規集客を行っているのかに注意してください。例えば、初回割引クーポンや価格で決める方に向けて集客していたらどうでしょうか?初回割引が目的で利用した方にはリピートしてもらいにくいですし、価格で決める方はもっと安いところがあったらそちらへ行ってしまいます。
お客様に選んでもらう際に「何で選んでもらうか」という事を考えて、新規集客の仕組みを作る必要があるのです。集客とは、あなた(お店や製品、あなた自身)を選んでくれる人をたくさん集める事を忘れないようにしましょう。そしてこの考え方は「顧客単価を上げる」という事にもつながります。
お客様の気持ちの変化から行動プロセス、その行動プロセスに適したWebやITを使った集客方法について、重要で効果的な部分に絞ってお伝えいたしました。
ホームページやSNS、スマホアプリなどはあればよいというものではなく、検証を繰り返しながら継続的に使用する事が必要なツールです。うまく使えば集客力を確実に強化してくれますが、放置していては逆効果になってしまう場合もあります。
賢く使って、広告宣伝だけに頼らないあなた独自の集客の仕組みを作りましょう。
Copyright © 販促の大学で広告・マーケティング・経営を学ぶ All rights reserved.
powered by 地域新聞社