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新卒・若手社員の離職率が3年間で30%といわれる昨今、企業に優秀な人材を引き止めておくことは年々難しくなっています。
仕事が評価されなかった、ストレスを感じた、自身の希望と業務内容がミスマッチだったなど、辞める理由は人それぞれです。
「厳しく叱責したら辞めてしまうのでは」「どう接してよいかわからない」そんな不安を抱えながら部下と接している方も多いのではないでしょうか。
上司と部下という関係がより複雑になっている今、部下に対する「マネジメント能力」が、多くの上司に求められています。
【目次】
1.マネジャーがやるべき仕事とは?
2.現場レベルのマネジャーの仕事は情報を配ること
3.動機づけの情報その1:「状況」
4.動機づけ情報その2:「方向性」
5.動機づけ情報その3:「評価」
6.動機づけ情報その4:「業務」
7.動機づけ情報その5:「気持ち」
8.配るマネジメントで自分の能力がアップする
9.「配れているか」を定期的に見直そう
会社に限らずあらゆる組織には、その組織を円滑に動かすために「マネジメント」と呼ばれる機能が存在しています。そして、日々マネジメントを行っているのがマネジャーです。
ほとんどの会社では、マネジメントをする人=マネジャーを、主に3つの階層に分けることができます。
一番上の階層は、社長や取締役と呼ばれる役員です。会社全体のマネジメントをする立場ですね。
2番目の階層は、部長や課長のような「管理職」と呼ばれるポジションです。自分の受け持つ部や課のマネジメントをする立場です。
3番目の階層にいるのが、係長やリーダーと呼ばれる、現場レベルのマネジャーです。新卒や若手社員を直属の部下に持ち、そのほとんどがプレイヤーとしての業務を担いながらマネジメントも行う「プレイングマネジャー」です。
「会社」という組織は、ヒト・モノ・カネ・情報という4つの経営資源から成り立っています。
マネジメントとは、この4つを適切な人や場所に分配して、最適に運用される状態を作り出すことです。ただ、ヒト・モノ・カネの分配は、主に役員と管理職が担います。現場レベルのマネジャーは、人事考課や決済の権限は限られた形で付与されている、もしくは与えられていない場合が多いでしょう。
現場レベルのマネジャーが配るべきものは、主に「情報」です。部下に対して適切に情報を配れているかどうかが、マネジメントの肝になってきます。
自分が新入社員だった頃やバイトをしていた頃を思い出してください。
「この仕事をやって!」とただ命じられ、理由を説明されなかった経験は皆さんにもあると思います。
仕事をやる理由が分からないと、全力で取り組もうとは思えないでしょう。
人は、物事に取り組む前に「なぜそれをやるのか」という動機(モチベーション)を必要とします。
動機があるのと無いのとでは、仕事をする本人の意識に差が出てくるので、結果として仕事の質に大きく影響します。
マネジャーの仕事は、部下にとって動機となる情報を、適切なタイミングで配ることです。仕事を遂行する目的・動機を部下が理解することで仕事の質が上がり、部下にとっても上司にとっても良い結果をもたらします。
それでは、部下にとって動機付けとなる情報とはどのようなものがあるのか、5つご紹介しましょう。
自分や周囲がどのような状況に置かれているか、という情報です。
会社の業績や上司の異動、プロジェクトの遂行状況などの把握は、自分の立ち位置の理解につながります。
新卒・若手社員は、業務内容や人間関係など、共有されるべき知識があらゆる面で不足しているため、普段のコミュニケーションから状況を適切に把握することを苦手としています。
マネジャーの立場から、適宜、必要な情報を伝えてあげることが大切です。
会社やプロジェクトがどの方向に進んでいるか、という情報です。
部下は指示されたことだけをやっているのではなく、先回りして仕事の準備をしていることもあります。
自分が「海外部署に行く可能性が高い」と思えば、語学の勉強を始める社員もいるでしょう。
今後の方向性を共有することで、会社やプロジェクトのベクトルと部下の行動とのミスマッチを大きく減らすことができるのです。
どのように評価されているか、という情報です。
上司からの評価だけではなく、お客様からの評価や、自分が生み出したプロダクトに対する評価も含みます。
マイナス、プラス、どちらの評価も、部下にとって動機づけになり得るタイミング、かたちで伝えることが大切です。
業務を進める上で必要な情報です。
プロジェクトの概要や細かい作業内容、ワークフローの回し方、書類の様式といった些細な情報を含みます。
現場配属されたのに誰も説明をしてくれずひとり苦労した経験も、社会人なら一度や二度はあるのではないでしょうか。
必要なタイミングで必要な情報が部下に共有されていないと、部下の作業効率が落ちてしまいます。
感情は、正しく伝わるとは限りません。
上司が何気なく放った一言が部下を傷つけてしまったり、ただ眠かっただけなのに、機嫌が悪いように捉えられてしまったり。
マネジメントする側の人間が伝えたい「気持ち」をしっかりデザインしないと、意図しないかたちで伝わってしまいます。
以上、5つの配るべき情報について説明しました。
部下にとって動機付けとなる情報を配るためには、マネジャー自身が日頃から情報収集をする必要があります。
そこらへんに転がっている情報は、部下が自分で取得できるレベルのものです。上司であるマネジャーは、上司にしか配れない情報を提供することに意味があるのです。
また、収集した情報をそのまま部下に渡しても、部下の動機付けにはつながりません。
部下にとって仕事の動機づけとなるように、情報を加工するスキルも必要になります。そのためには、マネジャーが情報をいったん噛み砕き理解をした上で、部下をどのように動かすべきなのかを考えて適切なタイミングで配る、という複雑な工程を行う必要があるのです。
このように、マネジャーは情報を配る作業を通じて、情報収集力、概念化能力(コンセプチュアルスキル)、対人関係能力(ヒューマンスキル)が自然と身についていきます。
これらの能力は、マネジメントを行うためにもちろん必要な能力ですが、会社を経営する上でも、どれも必要な能力です。配るマネジメントは部下に動機を与え動かすだけでなく、マネジャー自身に経営能力を身に付けさせるための方法でもあるのです。
すでに述べたように、新卒・若手社員を束ねる現場レベルのマネジャーは、そのほとんどが、自身の成果も求められるプレイングマネジャーです。
日々の業務に忙殺され、マネジメント業務が疎かになってしまっている方も少なからずいることでしょう。
プレイヤーとマネジャーの役割は、根本的に異なります。特にプレイヤーして優秀な人は、自分ひとりで仕事をこなそうとする傾向にあります。
自分がマネジャーとして情報を配れているかを、定期的に見返すことが大切だといえるでしょう。
参考文献:
・髙木 晴夫著:『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった1つ』
・コンセプチュアルスキルとは?向上によるメリットやコツ、参考書籍もご紹介BizHint(ビズヒント)- 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア
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