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「なかなか優秀な社員が育たない」そんな声をよく耳にします。
売り手市場が続いてる状況下で、優秀な学生は大手企業や意欲的なベンチャー、公務員などに流れ、資金力が限られた多くの中小企業にとっては厳しい採用戦線が続いています。
社員の能力を一定水準以上に保つことは会社経営の要。優秀な人材確保が難しい昨今、入社後の人材育成の重要性が高まっています。
ところが今、人材育成に悩む企業が増加しているというのです。
【目次】
1.優秀な人材が育たない?
2.労働環境が変わった?
3.人材育成の鍵は小まめなフィードバック
4.注目される1 on 1
5.いかに社員のコミュニケーションを増やすかが鍵
昔に比べると、入社後の新人社員教育に力を入れる企業は増えていますよね。
研修・教育制度の充実に反して、社員育成に悩む企業が増えているのはなぜでしょうか?
人材育成が上手くいかないことの背景には、労働環境の劇的な変化があるといわれています。
バブルが崩壊した1990年代以降、体力のなくなった日本企業は、雇用制度を大きく転換しました。
長期雇用と年功序列の廃止です。
○定年まで働くことが常識だった
昔の日本企業では、新卒入社の会社で定年まで働くことが普通でした。
約40年間を同一企業で過ごすため、会社も社員に短期的な結果を求めることは少なく「いつか成果を出してくれればいい」というおおらかな考え方を持っていたのです。
人間が成長するのは、成功したタイミングではなく、失敗したタイミングだといわれます。
「二度と同じ過ちは繰り返さない」と失敗の経験を糧に大きく成長します。
ところが、現在の企業は長期雇用を前提としておらず、入社後すぐに結果を求める企業が多いのが実情です。
「人材開発部門が中長期的に関わる新人教育よりも、現場でのOJT教育を重視する」企業が全体の7割以上を占めるという調査結果もあるくらいです。
○上司がロールモデルだった年功序列制度
年功序列制度の下では、社員間の能力の優劣よりも、勤続年数や年齢が重視されます。
年を追うごとに役職や賃金が上昇していく人事制度で、現在の成果主義制度が導入されるまで多くの企業で採用されていました。
年功序列制度の良いところは、上司が自分の将来像になりえる点にあります。
仕事上の悩みは、上司を参考にすればよかったのです。
30歳になったらマイホームを買い、50歳になったら高級車に乗り、60歳になったら定年退職して悠々自適な老後。
そんな将来像を容易に描けたのが年功序列制度でした。
現在では、ピラミッド型の組織からフラット型の組織に変化する企業が増え、中間管理職の数は削減。
若手が先輩を追い越して管理職に就任することも珍しくなくなり、年功序列制度は崩壊しつつあります。
上司がロールモデルを示せなくなり、若手社員は自力で目指すべき方向を見つけなければならなくなりました。
先輩社員から後輩社員への知識共有が減り、以前と比べると「会社として集合知」を発揮することが難しくなったのではないでしょうか。
多くの企業において、社員は短期スパンで成果を求められ、同時に社員間同士の知識共有が減ったために、社員育成が伸び悩んでいます。
これを打開するための根本的な解決策はありませんが、社内コミュニケーションを増やすことで状況の改善を図ることが可能です。
その一手法として注目を浴びているのが「フィードバック」です。
フィードバックとは、周囲の人間が外部評価を与えたり知識共有を図ったりする「ティーチング」と、本人への問いかけによって自発的な軌道修正を促す「コーチング」の両方の要素を取り入れた手法です。
数あるフィードバックの手法の中でも、IT企業のヤフーが取り入れたことで話題になったのが1 on 1(ワン・オン・ワン)です。
1 on 1はその名の通り、上司と部下が定期的に1対1のミーティングを行うフィードバック手法です。
部下は目標達成のための行動について、成功事例、失敗事例、悩みなどを上司に伝え、上司はその内容に対してフィードバックを行います。
特別なノウハウや環境を必要としないため、どの企業でも導入できるのが魅力です。
「それならうちの会社でもやっている」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、1 on 1をやる上で大切なことは「高頻度に行うこと」です。
1対1での業績査定面談を年に1〜2回やっている企業は多いと思いますが、ビジネス環境の変化が激しい業界では、年や半期ベースのフィードバックでは本人の成長速度を遅くする危険性があります。
効果的にフィードバックを行うための目安は「週に1度」でしょう。
労働環境の変化による社内コミュニケーションの減少は、若手の人材育成にとってはマイナスに働いています。
「フィードバック」は、主に上司と部下とのコミュニケーションを増やす中で、部下の成長を支援していく方法の一つです。
中間管理職の多くがプレイングマネージャーといわれており、部下のために時間を割くのが難しくなっている今だからこそ、制度として導入することに意味があるのかもしれませんね。
参考文献:
中原 淳著 『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』PHP研究所
産労総合研究所 2014年度 大学・大学院卒新入社員教育の実態調査
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