シリーズ駅商圏分析センター、今回は成田駅周辺の分析です。
日本の玄関口である成田国際空港がある成田市。JR成田駅は成田線の駅で、京成成田駅が隣接しています。また成田駅は「成田のお不動さま」としても知られる成田山新勝寺の最寄り駅でもあります。新勝寺は初詣の参拝客数が社寺としては全国2位であり、成田国際空港が近いことから外国人観光客にも人気があります。
駅の周辺には区画整理されたニュータウンや新興住宅地が多数あり、商業施設も多く展開しています。2015年春には、成田市が駅前に整備したマンション・商業施設などが入る再開発ビル(スカイタウン成田)が完成しました。また成田市は、千葉県内では浦安市に次いで2番目に平均年齢が若く、人口増加も続いています。市の郊外には空港関連企業や大規模な工業団地が立地しています。
成田駅は地元住民から観光客まで、幅広い層の人たちが利用している駅と言えるでしょう。
JR成田駅の1日の平均乗車客数は16,197人、京成成田駅の1日平均乗車客数は18,739人(いずれも2018年)。
2000年から2018年で見てみると、若干減少しているものの、ほぼ横ばい状態です(JR:16,461人⇒16,197人、京成18,916人⇒18,739人)。
【目次】
1.円商圏
2.居住人口・人口増減率
3.世帯人員
4.住居
5.収入
6.昼間人口
7.将来人口
8.まとめ
円商圏
前提としてJR成田駅から
① 半径1km圏
② 半径1~2km圏
③ 半径2~3km圏を分析します
※基準値…千葉県平均
1km圏
成田駅前から約800m続く、成田山新勝寺の表参道沿いには、150店以上の飲食店や土産店が並びます。
また、成田国際空港を利用する人向けの宿泊施設がそろっており、リーズナブルで機能的なビジネスホテルや観光客向けの旅館など、それぞれのニーズに合わせて選ぶことができます。
1~2km圏
北東部には成田山新勝寺の広大な緑地が広がっています。
それ以外の地域は、成田ニュータウンや富里日吉台ニュータウンなど、公団住宅や区画整理された住宅地となっており、住宅地の中心部を走る道路沿いには、たくさんの飲食店や商業施設が展開されています。
2~3km圏
北部から東部~成田国際空港までのエリアには田園地帯が広がっています。また、富里エリアにはゴルフ場があります。南西部にある公津の杜駅周辺は「千葉県街並み景観賞」を受賞した整然とした街並みが特徴の新しい住宅地で、国際医療福祉大学を中心とした街づくりが推進されています。
居住人口・人口増減率
●年代別人口
●人口増減率
1km圏
20歳代から30歳代の人口が多いエリアです。人口増減率も1.97%と千葉県平均(0.1%)と比較すると大きく増加しています。60歳代以上と10歳代以下の人口が千葉県平均より少ない結果となっていることから、子どもを持たない若い世代の方が、駅の近くに多く移住していることが分かります。若い世代が暮らしやすい環境が整っているとも言えそうです。
1~2km圏
千葉県平均と人口比がほぼ同じエリアとなっていますが、70歳代以上は少ない結果が出ました。現役世代
の方が多く住んでいる地域と考えられます。人口増減率は0.26%と千葉県平均より若干高めです。
2~3km圏
30歳代と10歳未満人口の割合が高く、若い世代のファミリー層が多く居住していることが分かります。人口増減率が3.8%と千葉県平均を大きく上回っており、新しい住宅地の開発が進んでいることが分かります。
世帯人員
1km圏
総世帯数の約半分(54.62%)が1人世帯となっており、利便性の高い駅至近圏の大きな特徴が出ています。
2人世帯からの数値は、それぞれの項目で千葉県平均を下回っています。
1~2km圏
1人世帯は1km圏と比較すると少なくなりますが、千葉県平均からは6%ほど高い値になっています。
2人世帯からの数値は千葉県平均を多少下回ってはいますが、割合はほぼ同じ構成となっています。
2~3km圏
3人世帯からの数値は千葉県平均より高い値になっています。先ほどの年代別人口から推測すると、若い世代のファミリー層が多数居住していると考えられます。
住居
●住宅の所有関係別世帯数
●住宅の建て方別世帯数
1km圏
持ち家比率(45.98%)は千葉県平均値(66.56%)より約20%低い数値になっています。住宅の建て方を見ると、共同住宅が65.51%と千葉県平均値(44.28%)よりも約20%高い数値となっています。先ほどの世帯人員も考慮すると、1人世帯・賃貸住宅、という関係性が見えてきます。
1~2km圏
持ち家比率が54.32%と千葉県平均値より約12%低いものの、1km圏よりは高くなります。所有関係別世帯数の中では公営公社等の割合が13.05%と千葉県平均値(4.63%)を大きく上回っており、数字上からも大規模な公団住宅がこのエリアに存在することが分かります。共同住宅の比率も高いことから、賃貸マンションも多いと考えられます。
2~3km圏
持ち家比率が63.09%と1~2㎞圏よりもさらに高くなります。住宅の建て方に関しては1~2㎞圏の割合とほぼ変わらないことから、この地域には分譲マンションと戸建が多く存在することが見えてきます。
収入
1km圏
平均年収は471.2万円。千葉県平均(523.0万円)より約50万円低くなっています。
1~2km圏
平均年収は493.2万円。千葉県平均より約30万円低くなっています。
2~3km圏
平均年収は516.4万円。千葉県平均よりやや低めとなっています。
どの商圏も千葉県平均と比較すると、平均年収は低いという結果が出ました。
年収階層別に見ると、1㎞圏、1~2㎞圏は千葉県平均に比べて、平均年収が低い世帯の割合が大きいエリアとなっています。先ほどの年代別人口・世帯人員から推測すると、20歳代~30歳代で1人世帯の方が多いことが影響していると考えられます。
※年収→世帯年収
昼間人口
夜間人口を100%とした場合の昼間人口の割合です。
1km圏
昼間人口は夜間人口の138.5%(千葉県平均83.16%)。このエリアに通勤通学する人が多いようです。
1~2km圏、2~3km圏
1~2km圏の昼間人口は夜間人口の76.73%、2~3㎞圏は79.83%。ベッドタウンであることが分かります。
将来人口
1km圏
2030年までは増加しますが、徐々に緩やかに減少し始め、2040年では2015年比-3.91ポイントになるという予測が出ています。
1~2km圏
2030年に人口増加率はピークを迎えます。その後増加率は緩やかに減少しますが、2040年では2015年比+4.12ポイントになるという予測が出ています。
2~3km圏
人口増減率は増加し続け、2040年では2015年比+12.00ポイントと大幅な人口増加の予測が出ています。今後も人口増加が続きそうです。
千葉県平均は右肩下がりなのと比較すると、今後も人口増加が期待される希少なエリアと言えます。
まとめ
日本の玄関口でもある成田国際空港を持ち、成田山新勝寺を中心とした伝統行事や文化を活用した街づくりを進める成田市。今後も訪日外国人旅行者数の増加が予想され、国際都市、観光都市としての発展が見込まれています。また空港だけでなく、東関東自動車道や圏央道などの充実した交通網を生かした産業発展も期待されています。
子育て世代が多く居住し、人口増加が期待される希少なエリアである成田駅周辺は、とても魅力的な街と言えるでしょう。
【分析ソリューション】株式会社パスコ マーケットプランナーGIS
【出典】出典:平成27年国勢調査、平成27年昼間人口、2015-2040年将来推計人口、平成27年年収別推計世帯数、平成26年経済センサス(以上、各500mメッシュ集計)および平成26年商業統計(1kmメッシュ集計)より