駅商圏分析センター ~JR佐倉駅編~

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長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督の出身地といえば……そう佐倉市!

 

駅商圏分析センター第9回は、ミスタープロ野球の地元、歴史ある佐倉藩11万石の城下町でも知られる佐倉をピックアップ。

 

かつての佐倉城は、現在では佐倉城趾公園となっており、今でも土塁など城があった面影を残しています。敷地の一角には国立歴史民俗博物館があり、年間を通じて様々なイベントが開催されています。

 

市の中心駅ともいえる佐倉駅は、千葉にも成田にも20分ほどで行ける便利な駅です。総武本線(成東方面)・成田線(成田方面)の2路線が乗り入れ、1日の平均乗降客数は10,048人 (2016年)。ここ5~6年は横ばいの状況です。

 

ちなみに京成線にも「佐倉駅」があります(正しくは京成佐倉駅)が、直線距離で約1.8km。

 

徒歩での乗り換えには少し距離があり、バスでも10分ほどかかるのでご注意を。

 

【目次】
1.円商圏
2.居住人口・人口増減率
3.世帯人員
4.住居
5.収入
6.将来人口
7.昼間人口
8.まとめ

(1) 円商圏

 

前提としてJR線佐倉駅から前提としてJR線佐倉駅から

 

① 半径1km圏
② 半径1~3km圏
③ 半径3~5km圏を分析します。

※基準値…千葉県平均

1km圏内
駅前に大型商業施設はないものの、圏内にはスーパーやドラッグストア等、生活必需品を扱う店舗が揃っています。医療機関も多く生活環境は良好。北へ歩くと城下町の佐倉らしく、3棟の武家屋敷が一般に公開されています。

 

1~3km圏
京成佐倉駅が含まれるエリア。駅徒歩圏に前述の佐倉城趾公園や国立歴史民俗博物館のほか、市役所や郵便局もあることから、市の中枢機関がこのあたりに集中していることが分かります。南側には東関東自動車道佐倉ICがあり、東京方面・成田空港方面へのアクセスは抜群です。

 

3~5km圏
北側は長嶋茂雄記念岩名球場のある岩名運動公園や佐倉草ぶえの丘、さらには印旛沼など自然豊かな環境。南側は佐倉第三工業団地があり大型の工場が集結しています。

(2) 居住人口・人口増減率

1km圏
特に20歳代人口が多く、60歳代が少ないエリアです。人口増減率は4.15%(千葉県平均2.64%)と平均を上回り、人口流入がやや多いエリアといえます。

 

1~3km圏
60歳代が特に多く、次いで50歳代が続きます。反対に10歳未満・30歳代・40歳代の人口割合が低くなっています。人口増減率は-2.07%と減少しているエリアです。

 

3~5km圏
60歳代が飛び抜けて多いエリアです。反対に40歳代はかなり少ないエリアといえます。人口増減率は-0.29%と、ここも減少しています。新しい層の流入が少ないエリア、ということが推測できます。

 

(3) 世帯人員

 

1km圏
1人世帯が多い(36.54%)ということが分かります(千葉県平均30.30%)。駅至近エリアの特徴ですね。しかし千葉県内のその他主要駅1km圏と比較すると1人世帯の割合はそれほど高くはなく、ファミリー層も割合多く住んでいるエリアといえそうです。

 

1~3km圏
1人世帯が少なく、2~5人以上の世帯が千葉県平均を上回っています。いわゆるファミリー層の世帯が多いことが想定されます。

 

3~5km圏
このエリアはさらに1人世帯が少なくなっています。全体的には1~3km圏と非常に似た構成となっています。

(4) 住居

1km圏
民営の借家が33.29%を占め、千葉県平均値(25.49%)より約8%高い数値になっています。また給与住宅5.07%(同平均3.36%)が多いのも特徴です。戸建てと共同住宅の比率は、千葉県平均とほぼ同じです。

 

1~3km圏
持ち家比率(83.40%)、一戸建て比率(76.57%)と共に千葉県平均より約20%ほど高い数値となっています。このエリアはマンションのような共同住宅が少なく、持ち家≒一戸建て、の構図といえそうです。

 

3~5km圏
このエリアは持ち家比率(83.71%)、一戸建て比率(77.32%)とさらにその割合は高まります。全体的には1~3km圏と非常に似た構成になっています。

(5) 収入

1km圏
平均年収が518万円。千葉県平均より約4万円低くなっています。

 

1~3km圏
平均年収が545.4万円。千葉県平均より約22万円高くなっています。

 

3~5km圏
平均年収が535.6万円。千葉県平均より約12万円高くなっています。

駅から1km以上離れると平均年収は高くなる傾向があります。

 

どちらかというとシニア層中心のエリアということもあり、経済面でも落ち着いた世帯が多いことが予想できます。駅近は流入してきた若いファミリー世帯と1人世帯が多いことを考えると順当な結果でしょうか。
年収階級別でみると、どのエリアも千葉県平均と大きな差がない結果となっています。
※年収→世帯年収

(6) 将来人口

1km圏
人口は減少傾向です。平成52年には現在の人口より11%程度少なくなる見込みです。

 

1~3km圏
人口は継続的に減少していく予測です。平成52年には現在の人口より25%程度少なくなる見込みです。

 

3~5km圏
1~3km圏同様、人口は継続的に減少していく予測です。平成52年には現在の人口より26%程度少なくなる見込みです。

(7) 昼間人口  

夜間に対する昼間人口の割合です。

 

1km圏
昼間人口は夜間人口の91.05%となっており、人口変動比の少ないエリアです(千葉県平均83.24%)。通学・通勤も同エリアで、という方も多いようです。

 

1~3km圏
昼間人口は夜間人口の84.75%で千葉県平均と近似値のエリアです。

 

3~5km圏
昼間人口は夜間人口の78.70%となっています。やや人口変動比の大きいエリアです。昼間は静かな住宅街、といった感じでしょうか。

(8) まとめ

人口減少へ転じており、それと共に高齢化の進行が顕著であるという結果がデータに表れています。

 

しかし、佐倉市には豊かな自然と長い歴史、閑静で住みやすいベッドタウンを有する、という大きな特徴を持っています。

 

その強みを活用し、今後新しい層を取り込んでいきたいものです。まずはあなたも佐倉の歴史散策でその魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

 

【分析ソリューション】株式会社パスコ マーケットプランナーGIS
【出典】出典:平成22年国勢調査、平成22年昼間人口、平成27-52年将来推計人口、平成25年年収別推計世帯数、平成24年経済センサス(以上、各500mメッシュ集計)および平成19年商業統計(1kmメッシュ集計)より

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