駅商圏分析センター ~海浜幕張駅編~

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シリーズ駅商圏分析センター、今回は海浜幕張駅周辺の分析です。海浜幕張駅は幕張新都心の玄関口として1986年に開業しました。幕張新都心は1989年の幕張メッセオープンを皮切りに、ホテルや商業施設、企業、教育・研究施設、幕張ベイタウンを中心とする宅地化の推進により「職・住・学・遊」の複合的な都市機能の集積が進み、現在の姿になっています。

 

幕張新都心は以下の6地区で構成されています。

 

「タウンセンター地区」…JR京葉線の海浜幕張駅が中心の地区
「業務研究地区」…企業が立地する地区
「文教地区」…学校や研究施設が立地する地区
「住宅地区」…集合住宅が立地する地区
「公園・緑地地区」…海岸沿いの幕張海浜公園を中心に広がる地区
「拡大地区」…1989年に編入された地区

 

海浜幕張駅はJR京葉線が運行。1日の平均乗車客数は65,377人 (2016年)。開業初年度(1986年)の747人から87.5倍の乗車客数となりました。発車メロディにはZOZOマリンスタジアムを本拠地とするプロ野球チーム、千葉ロッテマリーンズの応援歌「We Love Marines」が。筆者は個人的に2015年から毎年開催されているレッドブル・エアレースを楽しみにしています。

 

【目次】
1.円商圏
2.居住人口・人口増減率
3.世帯人員
4.住居
5.収入
6.将来人口
7.昼間人口
8.まとめ

(1) 円商圏

前提として海浜幕張駅から
① 半径1km圏
② 半径1~2km圏
③ 半径2~3km圏を分析します
※基準値…千葉県平均

 

 

1km圏
幕張メッセをはじめ、駅前は商業エリア、駅西側はワールドビジネスガーデンを中心とした企業エリア、東側は大型ホテルエリア、幕張海浜公園を挟み、パティオスなどの住居エリア、線路より内陸側は各種学校エリア、といわゆる幕張新都心の中枢となています。

 

1~2km圏
京葉線検見川浜駅、総武線幕張駅、京成線京成幕張駅を含むエリア。西側はイオンモール幕張新都心やコストコといった大型商業施設が並びます。千葉県運転免許センターもこの地区。東側は花見川を渡ると、真砂・磯辺の住宅街が広がります。こちらは1970年代に開発された地区で、落ち着いた雰囲気です。海側は先述のZOZOマリンスタジアムがあり、北側は国道14号を越えると、一気に街の趣が変わります。

 

2~3km圏
JR総武線幕張本郷駅・新検見川駅、京成線幕張本郷駅・検見川駅、また京葉道路幕張ICが含まれるエリア。西側は習志野市に入ります。海側に住居地は少なく、千葉工業大学新習志野キャンパス、商業施設、各種工場施設が林立。東関東自動車道の北側は香澄や幕張西の住宅街が広がります。また大型マンションも点在。東側は主に真砂・磯辺地区のマンションなどの住宅街です。千葉市立海浜病院もこの地区にあります。

(2) 居住人口・人口増減率

●年代別人口

 

●人口増減率

 

1km圏
40歳代の、人口が突出して多いエリアです(千葉県平均13.77%に対し、26.11%)。また10歳未満・10歳代も非常に多い結果が出ています。40歳代の親とその子供たちのファミリー世帯が集中して居住している地域といえます。反対に20歳代と50歳代以上の人口が少ない結果となっています。人口増減率は25.11%と非常に流入が活発です(千葉県平均2.64%)。

 

1~2km圏
30・40歳代が多いエリアです。1km圏ほどではありませんが、10歳未満・10歳代も千葉県平均を上回っています。ここも20歳代と50歳代以上は少ないという結果が出ました。人口増減率は14.53%とここも大きく千葉県平均を上回っています。開発余地の大きいエリアですので、今後も増加の可能性を秘めています。

 

2~3km圏
この商圏も30・40歳代が多いエリアです。しかし、人口ピラミッドは千葉県平均とほぼ同様の形が見てとれます。幕張新都心の外側エリアということを如実に物語っていますね。人口増減率は1.27%と千葉県平均を下回り、流出流入が少ないようです。

(3) 世帯人員

1km圏
1人世帯が14.47%と、千葉県平均(30.30%)と比較して極端に低い割合になっています。反対に4人世帯が28.30%(千葉県平均15.49%)と非常に高い割合を示しています。3人世帯の割合も高く、核家族のファミリー層が集中していると想定されます。

 

1~2km圏
このエリアは2~4人世帯が千葉県平均を上回っています。反対に1人世帯・5人以上世帯が少ない割合を示しており、やはり核家族世帯が多いようです。

 

2~3km圏
千葉県平均と近い世帯人員の構成比になっています。1~2人世帯は平均を上回っています。

(4) 住居

●住宅の所有関係別世帯数

 

●住宅の建て方別世帯数

 

1km圏
持ち家比率(79.14%)は千葉県平均値(65.94%)より13%高い数値になっています。住宅の建て方を見ると、共同住宅が99.31%となっており、そのほとんどがマンションです。千葉県平均値(44.00%)よりも55%も高い数値となっています。持ち家=分譲マンションという構図です。公営公社等の住宅が13.31%(千葉県平均5.20%)と割合が高いのも特徴的です。

 

1~2km圏
持ち家比率が66.12%と千葉県平均に近づきます。一戸建て比率が20.11%と1km圏よりは増加するものの、ここも共同住宅比率が79.26%と圧倒的に高い結果となっています。また公営公社等の住宅が16.85%と千葉県平均の3倍強となっています。

 

2~3km圏
持ち家比率が56.71%と千葉県平均を下回ります。公営公社等、民営の借家、給与住宅がそれぞれ千葉県平均より高い割合になっています。住宅の建て方で見ると、このエリアも共同住宅が66.33%と多くを占めています。

 

●住宅の延べ面積別世帯数

世帯が居住する住宅の延べ床面積です。1km圏で見ると70~99㎡の住宅が69.22%を占めこの大きさの住居が多く、かつ集中して建設されていることが分かります。

(5) 収入

1km圏
平均年収が611.1万円。千葉県平均より約88万円高くなっています。

 

1~2km圏
平均年収が551.9万円。千葉県平均より約29万円高くなっています。

 

2~3km圏
平均年収が533.6万円。千葉県平均より約10万円高くなっています。
どの商圏も千葉県平均と比較すると、平均年収は高い結果が出ました。また1km圏では年収1,000万円以上の世帯の割合が14.09%と千葉県平均(7.75%)を大きく上回る結果が出ています。高額所得者の多いエリアであることがよく分かります。
※年収→世帯年収

(6) 昼間人口

 

夜間に対する昼間人口の割合です。

1km圏
昼間人口は夜間人口の344.67%(千葉県平均83.24%)。

 

1~2km圏
昼間人口は夜間人口の75.16%。

 

2~3km圏
昼間人口は夜間人口の68.70%.

 

1km圏は昼間人口が爆発的に増加します。企業・商業地・学校等密集している土地ならではの現象ですね。反対に2~3km圏はベッドタウンエリアということが分かります。

(7) 将来人口

1km圏
平成52年(※2019年4月で平成は終了しますが)まで人口は増加の一途をたどります。平成52年では平成22年比17.58%の予測が出ています。人口が増加し続ける希少なエリアです。 

 

1~2km圏
1km圏同様人口が増加し続けます。平成52年では平成22年比13.92%の予測。新たな分譲地開発が予測されます。

 

2~3km圏
平成32年にピークを迎え減少期に入ります。平成52年では平成22年比-8.76%の予測が出ています。

(8) まとめ

人口増加が著しく、また高額所得者層の多い海浜幕張駅周辺地区。販促を考える上で見逃すことのできない地域ですね。2024年度開業を目標に京葉線の新駅ができる構想もあります(イオンモール幕張新都心至近)。これからさらに強力なインフラが整い、新都心としての機能も強化されていくことでしょう。

 

【分析ソリューション】株式会社パスコ マーケットプランナーGIS
【出典】出典:平成22年国勢調査、平成22年昼間人口、平成27-52年将来推計人口、平成25年年収別推計世帯数、平成24年経済センサス(以上、各500mメッシュ集計)および平成19年商業統計(1kmメッシュ集計)より

 
 

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