駅商圏分析センター ~蘇我駅編~

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シリーズ駅商圏分析センター、今回は蘇我駅周辺の分析です。蘇我駅と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、Jリーグのジェフユナイテッド市原・千葉。

駅構内はジェフカラーで彩られ、電車の発車時にはサポーターソングの『Over』が流れます。ホームスタジアのフクダ電子アリーナへは無料のシャトルバスが運行(徒歩でも8分程度)。

 

そんな蘇我駅には京葉線、内房線、外房線の3路線(すべてJR東日本)が乗り入れています。内房、外房、東京方面のハブとなる駅で、通勤にも観光にも利便性に優れています。1日の平均乗降客数は33,123人 (2016年)。1990年代から常に右肩上がりで乗降客数が増加しています。

 

それともう一つ、あまり知られていませんが、貨物線である京葉臨海鉄道臨海本線(通称りんてつ)が乗り入れています。主に京葉臨海工業地帯で生産されるや製品や物資、原料を輸送しています。

 

【目次】
1.円商圏
2.居住人口・人口増減率
3.世帯人員
4.住居
5.収入
6.将来人口
7.昼間人口
8.まとめ

(1) 円商圏

前提として蘇我駅から

 

① 半径1km圏

② 半径1~2km圏

③ 半径2~3km圏を分析します

 

※基準値…千葉県平均 

 

 

1km圏
海側に前述のフクダ電子アリーナがあります。また隣接するフクダ電子スクエアにはサッカーやラクロス、少年野球などのできるグラウンドがあり、週末は多くの人々でにぎわいます。その近隣にはGLOBOを中心とした商業施設が立ち並びます。北側には千葉メディカルセンター、東側に三愛記念そが病院と医療施設も充実しています。

 

1~2km圏
京成千原線の千葉寺駅・大森台駅が含まれるエリア。北側には青葉の森公園があり、ファミリー層には人気のお出かけスポットです。敷地内には陸上競技場や野球場、テニスコートなどがあり、学生スポーツの大会が盛んに行われています。東側は京葉道路が縦断しており、館山方面へのアクセスに便利。海側はアリオ蘇我店やフェスティバルウォーク蘇我などの商業施設が充実しています。

 

2~3km圏
JR線の本千葉駅、千葉都市モノレールの県庁前駅が含まれるエリア。北側は千葉県庁や千葉県警察本部など、行政の中枢機関が集まっています。他にも千葉市立郷土博物館(通称千葉城)、千葉市科学館(きぼーる)等の施設もあり、こちらもお出かけにおすすめのスポットです。海側の埋立地には主にJFE関連の工場が並んでいます。

 

(2) 居住人口・人口増減率

 

1km圏
20歳代~40歳代人口が多いエリアです。50歳以上については千葉県平均より少なく、全体的に若い層が多いエリアといえます。人口増減率は7.05%(千葉県平均2.64%)と高く、若いファミリー層が多く流入していることが分かります。

 

1~2km圏
30歳代と40歳代が多いエリアです。反対に50歳代と60歳代は少ない結果が出ています。人口増減率は5.01%と平均値よりも高く、マイホームを購入した世帯が多く流入してきています。

 

2~3km圏
20歳代と30歳代、また70歳代が多いエリアです。人口増減率は9.54%と非常に高い数値を示しています。エリア内の数か所でマンションや戸建て分譲地が開発されている影響で、人口が流入しています。

(3) 世帯人員

1km圏

1人世帯が多い(48.94%)ことが分かります(千葉県平均30.30%)。駅至近エリアに共通する特徴です。特に工業地域に勤める単身世帯が多そうです。また淑徳大学や、千葉駅方面の大学に通う学生も含まれていると推測できます。2人以上のいわゆるファミリー世帯は平均値と比較し、少ない結果となっています。

 

1~2km圏
1人世帯(38.57%)が千葉県平均より多いエリアではありますが、1km圏と比較するとその他の世帯も多くなり、よりファミリー層が多い印象です。

 

2~3km圏
1人世帯が41.47%と1~2km圏より多くなります。これは、北側が千葉駅近隣のエリアになってくることが影響していそうです。
3つの商圏を比較すると1人世帯で最も大きな違いがみられます。

(4) 住居

1km圏
民営の借家が39.04%を占め、千葉県平均値(25.49%)より13.5%高い数値になっています。駅の東側はマンションが多くみられるためか、共同住宅の比率が71.04%。千葉県平均(44.00%)と比較し27%も高い結果が出ています。

 

1~2km圏
持ち家比率(56.73%)、は千葉県平均値よりも9.2%低い結果となっていますが、1km圏より8.5%高く、マイホーム型世帯が多くなります。

 

2~3km圏
一戸建ての世帯が47.61%と1~2km圏よりも2.2%低くなっているものの、持ち家世帯は59.69%と、同エリアと比較すると3%高い結果となっています。分譲マンションに住む世帯が多いことが伺えます。

(5) 収入

1km圏
平均年収が498.7万円。千葉県平均より約24万円低くなっています。

 

1~2km圏
平均年収が515.7万円。千葉県平均より約7万円低くなっています。

 

2~3km圏
平均年収が515.4万円。千葉県平均より約8万円低くなっています。

 

どの商圏も千葉県平均と比較すると、平均年収はやや低いという結果が出ました。年齢層が若いことが影響しているのでしょうか。特に1km圏は、1人世帯が多いことからも、そういった傾向が出ているのかもしれません。年収階級別でみると、1km圏で500万円未満世帯の割合がやや多い他は、どのエリアも千葉県平均と大きな差がない結果となっています。
※年収→世帯年収

(6) 将来人口

1km圏
人口は平成47年まで増加傾向です。ここでいったんピークを迎えますが、平成52年には現在の人口より14%程度多くなる見込みです。

 

1~2km圏
人口は平成42年まで増加傾向です。ピーク時は現在よりも約8%増加しますが、平成52年には現在の人口より6%程度の伸びとなる見込みです。

 

2~3km圏
1km圏、1~2km圏と比較すると緩やかな曲線ではありますが、平成37年まで堅調に増加します。その後は徐々に減少しますが、減少率はそれほど高くなく、平成52年では現在の人口より3%程度多くなる見込みです。

(7) 昼間人口

夜間に対する昼間人口の割合です。
1km圏
昼間人口は夜間人口の117.97%となっており、人口変動の大きいエリアです(千葉県平均83.24%)。この地域に通学・通勤する、という方が多いようです。

 

1~2km圏
昼間人口は夜間人口の76.60%。ベッドタウンの特徴でもあります。
昼間は静かな住宅街、といった感じですね。

 

2~3km圏
昼間人口は夜間人口の124.14%となっています。ここも人口変動の大きいエリアです。千葉駅至近ということも影響しているようです。

(8) まとめ

将来人口をみて分かる通り、蘇我駅周辺は人口増加の予測が立てられる数少ないエリアの1つです。

公園、文化・芸術等の施設も充実し、ショッピングにも便利ということで、ここからさらに発展が見込まれる地域といえるでしょう。今シーズンのジェフのJ1昇格を願いつつ、スタジアムに応援に行ってみてはいかがでしょうか。

 

【分析ソリューション】株式会社パスコ マーケットプランナーGIS
【出典】出典:平成22年国勢調査、平成22年昼間人口、平成27-52年将来推計人口、平成25年年収別推計世帯数、平成24年経済センサス(以上、各500mメッシュ集計)および平成19年商業統計(1kmメッシュ集計)より

 

 

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