駅商圏分析センター ~柏駅編~

公開

第7回は、“千葉の渋谷”の異名を持つ「柏駅」編です。

 

柏駅はJR常磐線と東武野田線(東武アーバンパークライン)の2路線が利用でき、千葉県で第3位の乗降客数を誇ります。

 

大型ショッピングモールをはじめ、若者向けのファッションや雑貨を扱う店舗も多く、週末ともなると周辺住民はもちろん、茨城県からもたくさんの人が訪れることで有名です。

 

柏市といえば…そう、柏レイソルのホームタウンでもありますね。レイソルサポーターはとにかく熱狂的!

Jリーグでも屈指の熱さです。試合のある日、日立台のホームスタジアムは柏サポーターの熱い応援で、興奮のるつぼと化します。

 

そんな若者カルチャーやスポーツ文化の発信地「柏駅」。周辺に住む人々の属性はどのような感じなのでしょうか?

 

【目次】

1.円商圏

2.居住人口・人口増減率

3.世帯人員

4.住居

5.収入

6.将来人口

7.昼間人口

8.まとめ

 

 

(1) 円商圏

前提として柏駅から
① 半径1km圏
② 半径1~3km圏
③ 半径3~5km圏を分析します
※基準値…千葉県平均

1km圏

東口のサンサン広場を中心に、ストリートミュージシャンが路上ライブ活動を行っています。あのナオト・インティライミさんも、かつては柏で路上ライブ活動をしていたそうですね。
西口には柏高島屋ステーションモール、東口には柏丸井など大型施設立ち並びます。そこに複数の地元商店街が共存している、という構図です。それぞれ独自の色をしっかり出すことで、良い意味で統一感がなく楽しい街になっている、という印象を受けます。

 

1~3km圏
常磐線は北柏駅・南柏駅、東武野田線は新柏駅・豊四季駅が含まれるエリア。前述の日立柏サッカー場もここにあります。国道6号及び国道16号沿線にはロードサイド型の店舗が進出しています。車通りが多く慢性的な渋滞ポイントも数か所あります。

 

3~5km圏
常磐線は我孫子駅・北小金駅、東武野田線は増尾駅・逆井駅、つくばエクスプレス(TX)は流山おおたかの森駅・柏の葉キャンパス駅が含まれるエリア。特につくばエクスプレス沿線は2005年の開業以降、着実に人口が増加し、町おこしの起爆剤的存在となっています。

(2) 居住人口・人口増減率

 

1km圏
20歳代・30歳代人口が多く、60歳代・70歳代が少ないエリアです。人口増減率は7.65%(千葉県平均2.64%)と高く、若い世代に人気のエリアといえるでしょう。

1~3km圏
千葉県平均と近いエリアですが、10歳未満から40歳代までは平均をやや上回る結果となっています。特に30歳代人口が多いエリアです。人口増減率は4.56%と平均より約2%多く、比較的若い層が流入していることが想像できます。

3~5km圏
30歳代と60歳代が多いエリアです。人口増減率も7.36%と高く、つくばエクスプレス効果で人口が流入していることが分かります。

(3) 世帯人員  

 

1km圏
  圧倒的に1人世帯が多い(50.86%)ことが分かります(千葉県平均30.30%)。2人世帯から5人以上世帯の数はそれぞれ平均値より低くなっています。年代別人口を加味すると、学生さんと結婚前の単身の方が多く住んでいることが推測されます。

 

1~3km圏
千葉県平均に非常に似た構成となっていますが、4人世帯がやや多い結果となっています。

 

3~5km圏
1人世帯の割合は24.81%で、千葉県平均より低いエリアです。2人・3人・4人世帯は平均よりも高く、ファミリーを中心とした核家族世帯で構成されているといえます。

(4) 住居

 

1km圏
民営の借家が45.97%を占め、千葉県平均値より20%以上高い数値になっています。反対に、持ち家比率は44.31%と低め(千葉県平均65.94%)。一戸建て比率も23.32%と極端に低く、共同住宅が多い結果となっています。

 

ここでも住宅を購入する前の単身世帯が多く居住しているエリア、ということが見えてきます。駅近で地価が高いので購入しづらい、という側面もありそうですね。

1~3km圏
持ち家比率は62.54%、一戸建て比率は49.06%と平均にはやや満たないものの、その他の指標は千葉県平均と似た構成となっています。

3~5km圏
持ち家比率が73.33%、と平均を超えています。駅から離れる≒地価が下がるという図式です。つくばエクスプレス沿線に流入している人口も住宅を購入する世帯が多いことが推測されます。

(5) 収入

1km圏
平均年収が495.7万円。千葉県平均より約27万円低くなっています。

1~3km圏
平均年収が534.7万円。千葉県平均より約12万円高くなっています。

3~5km圏

平均年収が545.5万円。千葉県平均より約23万円高くなっています。柏駅から離れるほど平均年収は高くなる傾向があります。駅近は単身世帯が多いことから考えると、当然の結果ともいえます。年収階級別でみると、1km圏は500万円未満、1~3km圏・3~5km圏は500~1,000万円の層の比率が高いのが分かります。
※年収→世帯年収

 

(6) 将来人口

1km圏
人口は平成52年までは増加傾向です。現状より13%程度の人口増加が見込まれるエリアです。

1~3km圏
人口は平成32年までは増加、その後は徐々に減少します。しかし、平成52年でも現在の人口より3%程度多くなる見込みです。

3~5km圏
人口は平成32年までは徐々に増加、その後減少に転じます。平成42年には現状の人口を割り、平成52年には現在の人口より約7%程度減少する見込みです。

(7) 昼間人口

 

夜間に対する昼間人口の割合です。

1km圏
昼間人口は夜間人口の144.12%となっており、非常に人口変動比率の高いエリアです(千葉県平均83.24%)。このエリアへの通勤・通学者が多いことが推測されます。

1~3km圏
昼間人口は夜間人口の66.30%となっています。いわゆるベッドタウンの特徴でしょう。交通アクセスが良いことからも、東京方面への通勤・通学者が多くいることが推測されます。

3~5km圏
昼間人口は夜間人口の74.16%となっています。このエリアもベッドタウンといえそうです。昼間は閑静な住宅街、といった感じでしょうか。

(8) まとめ

中心部はショッピング、ビジネスの拠点として、また渋谷や原宿のような若者文化の発信地として周知される街となりました。その外側のエリアは、東京都心への通勤・通学者の増加とベッドタウンの開発により、現在も発展し続けています。

 

将来推計人口を見ても分かるように、今後も人口増加が見込まれる地方都市のひとつです。住宅開発の余地もまだありそうです。

千葉とも船橋とも違う独自の色を持つ柏市。今後も継続発展を期待したいですね。

 

 

【分析ソリューション】株式会社パスコ マーケットプランナーGIS
【出典】出典:平成22年国勢調査、平成22年昼間人口、平成27-52年将来推計人口、平成25年年収別推計世帯数、平成24年経済センサス(以上、各500mメッシュ集計)および平成19年商業統計(1kmメッシュ集計)より

 
 

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