『エスキモーに氷を売る』マーケティングとは何かを教えてくれる本

公開

「エスキモーに氷を売る―魅力のない商品を、いかにセールスするか」 ジョン スポールストラ (著)、中道 暁子 (訳)

 

初版が発行されてからかなりの年数が経ちますが、物が売りにくい時代だからこそ、いろいろな気付きを与えてくれる本です。

 

以前在籍していた会社の上司に薦められ、その突拍子も無い題名に興味を持ち、すぐに購入しました。既に5回以上は読んでおり、個人的にはバイブル的な存在です。

 

マーケティング的には、著者が述べている考え方に目新しいものはありませんが、営業についての考え方は、今の時代にも十分通じる内容です。

 

物を売ることを生業としている人達にとっての“基本中の基本”、まさに営業、マーケティングの原理原則が述べられています。

 

それでは、さっそく内容を見ていきましょう。

エスキモーに氷を売るには?

1.自社製品(サービス)を利用している、興味を持っている顧客を大事にする

 

これを実践している会社は、意外と少ないと思います。

 

私が以前いた会社でも、ほとんどが新規!新規!新規を取ってなんぼの世界。新規からの売上が、既存からのアップセルよりも価値があると思い込まされていました。大まかな話ですが、在籍したどの会社でも営業活動、マーケティング活動の60~80%が新規顧客の獲得につぎ込まれていたと思います。

 

個人的には、労力の配分は新規40%、既存顧客60%ぐらいがいいのではないかと感じています。

 

2.顧客の気持ちを大事にし、誠意を持って対応する

 

既存顧客はもちろん、一度でも自社の製品に興味を持ったことがある見込み顧客、以前は既存顧客であったが今は取引のない顧客まで、常に情報を把握し、いつでもコンタクトを取るようにしましょう。

 

既存顧客または見込み顧客にアプローチすることで、顧客とのつながりを強化することができます。

 

“視点を変えて売り方を変えれば大化けする可能性もある”とは本書にある言葉です。

 

今まで一度も取引のない顧客でも、視点を変えて売り方を変えれば、上顧客になる可能性だってあります。

 

3.アプローチする市場、グループを絞る

 

ある程度自社サービスの売り方が分かってきたら、アプローチする市場、グループを絞っていきましょう。

 

この際も既存顧客を活用するのがおすすめです。既存顧客にアプローチすることで、自社の顧客特性、商品の市場性、有望市場、セグメントなど、新規顧客獲得戦略策定のための良質な分析データを得ることができます。

 

まさに既存顧客へのアプローチは一石二鳥、三鳥、いや、もっと高い成果を上げてくれるのです。

 

私も職種が営業の時は、既存顧客へのアプローチの重要性がわかっていませんでしたが、マーケティングへと転身し、自社、競合、市場分析をするうちに気づきました。

 

優れた良書だと思いますので、是非一読されることをおすすめします。

まとめ

エスキモーに氷を売るには、

 

1.まず自社製品に興味を持ってくれているすべての顧客(見込み客含む)に定期的にアプローチするようにする。割合としては、新規40%、既存顧客60%ぐらいがちょうどいい。

 

2.ただ同じようにアプローチするのではなく、既存顧客に買ってもらうにはどう売るべきか。ヒアリングなどを通じて、情報を集めていく。

 

3.情報がある程度収集できたら、データを分析し、自社の顧客特性、商品の市場性、有望市場、セグメントなどを把握する。視点を変えて、新たな売り方を開発し、再度顧客にアプローチを試みる。

 

 
 

The following two tabs change content below.
株式会社ベストエフォートマーケティング 代表取締役。 東京理科大学大学院卒業後、外資系企業にてマーケティング職、国内・海外営業職に従事。2011年4月に株式会社ベストエフォートマーケティング代表取締役就任。 “WEBを起点としてビジネスを発展させる”をキーワードに、WEB製作、WEBマーケティング、営業コストを抑えて売り上げを上げていく効率的なマーケティング手法、 営業手法などを提案。海外のグローバル企業、上場企業、中小企業、ベンチャー企業等500社以上の企業の営業マーケティング支援実績。 ホームページ : https://besteffortmarketing.co.jp/ Facebook : https://www.facebook.com/yushukanemura ベストエフォートオフィス船橋(コワーキングスペース): https://besteffortoffice-funabashi.com/

■おすすめの関連コラム

  1. 金運や仕事運がアップする
    おすすめのパワースポット 厳選4選

    パワースポットには、疲れた身体を癒やしたり、リラックス効果や精神を浄化する効果などがあるといわれ...
  2. 商売繁盛にご利益がある寺社はどこ?~茨城県編~

    2020年も残すところあとわずか。今年はみなさんにとって、どんな年でしたか?新型コロナウイルス感...
  3. 商売繁盛にご利益がある寺社はどこ?~埼玉県編~

    2020年も残すところあとわずか。今年はみなさんにとって、どんな年でしたか?新型コロナウイルス感...
  4. 商売繁盛にご利益がある寺社はどこ?~千葉県編~

    2020年も残すところあとわずか。今年はみなさんにとって、どんな年でしたか?新型コロナウイルス感...
  5. 地域新聞社の裏側を公開 ~自己紹介型の名刺について~

    どこの会社にも独自の社内制度やユニークな取り組みがありますよね。今回は地域新聞社が取り入れている...
  6. ちいき新聞の裏側公開!(社内行事編) 社内運動会で社員同士の交流を深める

    どこの会社にも独自の社内制度やユニークな取り組みがありますよね。今回は地域新聞社も昨年初開催した...
  7. あなたはどのタイプ?経営タイプを戦国武将にたとえると

    経営者には歴史好きが多く、歴史関連の書籍を愛読し、歴史上の人物が残した名言を座右の銘や経営指針に...
  8. ビジネス交流会に効果的に参加するには?

    ビジネスを発展させるうえで、人脈を広げるチャンスとなるビジネス交流会に参加することは、有効な営業...
  9. 効果的なノベルティグッズの制作で販促を成功させるコツ

    ノベルティグッズという言葉はよく耳にしますが、具体的にどんなものが思い浮かびますか。「●●円以上...
  10. ちいき新聞の裏側公開! サンキューレターで感謝の気持ちを伝えませんか?

    コミュニケーションツールとして、サンキューレターを取り入れませんか?...
  11. 立地が悪条件でも大丈夫!繁盛するためのコツとは?

    駅から徒歩数十分、人通りの少ない路地裏。わざわざそのお店に行こうとでも思わない限り、 誰も行かな...
  12. 地域商売とドラッカーの知恵

    店舗でご商売をされている方は、地元密着の経営をされている方がほとんどだと思います。 ...
  13. ユニークな社内制度を取り入れて従業員のモチベーションを上げよう!
    ~地域新聞社「ありがとうカード制度」の場合~

    最近では、独自の社内制度やユニークな取り組みを行っている企業が増えてきました。「購入制度」…何か...
  14. 立地が悪いのに、なぜこのお店に人が集まるのか

    とても立地が悪いのに、なぜかお客様が大勢入っていて、常連さんで賑わっているお店があると思います。...

PAGE NAVI

続きを読む
記事を検索
メルマガ登録者数1万以上 セミナー情報をいち早くお届け
ご提案無料 ウィズコロナ時代に合わせて販促の「見直し」してみませんか?まずはお問い合わせください。
  • 災害に備える ~中小企業強靭化法について~
    災害が発生し、人材はもとより設備等に重大な損害が生じると、事業活動の推進に直接的な影響が出てしまいます。特に中小企業や小規模事業者は、事業活動の継続そのものに重大な影響を与えることが懸念されます。2019年6月5日、災害時の対策の検討を推進するために「中小企業強靭化法」が公布されました。今回はこの法律について解説します。
  • 商品企画のツボ【ポジショニング戦略で穴をつく!】
    『ポジショニング戦略[新版]』アル・ライズ/ジャック・トラウト お客様と新しい商品やサービスの企画をする際は、必ず『ポジショニング戦略』を読み返します。今回はこの本を通じて、売れる商品やサービスについて説明をします。
  • 年末年始に獲得した顧客をリピーターに!閑散期を乗り切…
    年末年始商戦で新規顧客を獲得したら、次は再集客してリピーター化したいものです。年始の繁忙期が過ぎれば閑散期が到来しますが、その時に継続して集客できるかどうかが繁盛店との分かれ道といえます。本記事では、年末年始が過ぎた後も顧客をリピートさせるための対策について、3つのポイントを紹介します。
  • 行列と笑顔を生む、「チンドン屋」販促とは?
    店舗周辺の歩行者を集客する際に、とても大きな威力を発揮する「チンドン屋」という手法をご存知でしょうか?太鼓などの楽器を鳴らしながらお店のチラシを配り歩く、とても賑やかな販促方法。江戸末期に始まったといわれていますが、ネットが普及した現代だからこそ、人による「リアル」な販促手法が人々の注目を集める可能性は高いといえます。珍しさが人を呼ぶ、温かい販促手法をご紹介いたします。
  • アフターコロナ、withコロナに関する消費者意識調査…
    「販促の大学」を運営している地域新聞社では、地域新聞社LINE公式アカウントにお友だち登録をしている方を対象に、アフターコロナ、withコロナに関する意識調査を行いました。回答件数は1,947人と、これまでで最多の回答数となりました。やはり関心が高い内容だといえます。経済や生活の不安はまだまだ続きますが、できることをやっていきましょう。本記事が貴社の経営や販促におけるヒントになれば幸いです。
PAGE TOP