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費用対効果の高い広告って何だろう?
広告を出したらお客さんが増えたけど、かかった費用に見合っているのかな?
そんな悩みをお持ちの方にオススメの、広告費を効果的に使うために必要な考え方をご紹介します。
広告の費用対効果=「かけた費用に対して、いくら儲かったか」だと思っていませんか?
間違ってはいませんが、それだけでは大きな判断ミスを起こす可能性があります。
広告の費用対効果を考えるためには、「何に対しての」費用対効果が高いのかをしっかりと見極める必要があります。
広告の費用対効果を測りながら、お店や会社に合った広告媒体や手法を探しましょう。
【目次】
1.お店や会社に合った広告を見つけるには
2.2種類のCPAとは「新規顧客獲得単価」と「顧客行動単価」のこと
3.「何に対しての」費用対効果が高いのかをしっかり考えよう
4.【まとめ】
広告を利用するにあたって、費用対効果は必ず算出しておきましょう。
費用対効果を算出しておかなければ、その広告でどれだけの効果が出たのかを判断できません。また、売上は出ていても、実際に計算してみるとコストの方が高くついているようなケースもあります。
たとえば、50万円かかる広告(Aとします)と10万円かかる広告(Bとします)があった場合、単純に費用の安さだけでみればBの方が魅力的に見えるかもしれません。
しかし、Aの場合は50万かけて200万の売上、Bの場合は10万円かけて30万円の売上とした場合、優秀なのはAの広告です。
このように、効率的に広告を活用するための判断に、費用対効果の算出は必要なのです。
広告の手法にはWeb・紙媒体・TVCM・看板・チラシなどがあり、選択肢が多すぎて悩んでしまいます。
広告費を効果的に使う方法を知りたい!と思うかもしれませんが、お店のサービスや商品によって効果的な媒体や広告手法は違います。
限られた広告費で最上の効果を上げる広告手法を見つけるためには、企画(Plan)→実行(Do)→効果測定(Check)→改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)を回し続けることが重要です。
まずは広告を出すことで得たい効果を明確にした上で、広告の費用対効果を測る指標となる2種類のCPA、すなわち「新規顧客獲得単価」と「顧客行動単価」で効果測定(C)をしましょう。
広告の費用対効果を測る指標となる2種類のCPAとは「新規顧客獲得単価」と「顧客行動単価」のこと。
「CPA」には、次の2種類の意味があります。
1.CPA = Cost Per Acquisition(新規顧客獲得単価)
2.CPA = Cost Per Action(顧客行動単価)
1.Cost Per Acquisition
“Acquisition”という単語に、聞きなれないなぁと感じる方も多いのではないでしょうか。
Acquisitionとは「取得」という意味で、広告にかけた費用に対して獲得した新規顧客の数を意味します。
つまり、新規のお客様を一人呼ぶために、いくらの費用がかかったかという指標です。
初来店のお客様を集めたい時や、新規会員登録を促したい時には、Acquisitionを使ったCPAをもとに、費用対効果を測りましょう。
2.CPA = Cost Per Action(顧客行動単価)
Actionとは「行動」という意味で、広告にかけた費用に対して顧客が起こした行動の数を意味します。
つまり、1件の行動(たとえば来店など)をしてもらうために、いくら費用がかかったかという指標です。
広告の費用対効果を考えるにあたって、「何に対しての」費用対効果が高いのかをしっかり考える必要があります。
同じ広告費で2種類の媒体を試した場合の例で、広告の費用対効果を考えてみましょう。
同じ広告費で媒体Aと媒体Bを使った際の来店数を調べました。
結果は下の表のとおりです。
媒体A |
媒体B |
|
毎月通ってくれているリピーター客の来店者数 | 7人 | 1人 |
新規顧客の来店者数 | 3人 | 6人 |
合計 | 10人 | 7人 |
新規顧客の内、毎月通ってくれるリピーター客になった人数 | 1人 | 2人 |
【補足条件】どちらも平均単価は100円
得たい効果を“Action”、つまり来店者数で考えると、【媒体A】の方が合計で10人来たので効果が高いと言えるでしょう。
それに対し、得たい効果を“Acquisition”、つまり新規顧客獲得数で考えると、【媒体B】の方が6名来たので効果が高いと言えるでしょう。
広告の単発の売上効果としては、
【媒体A】の合計売上 10人 × 平均単価100円 = 1,000円
【媒体B】の合計売上 7人 × 平均単価100円 = 700円
となり、この場合は、【媒体A】が勝ると判断できます。
ただ、よ~く結果の表を見てみると、毎月通ってくれるようになったリピーター数が異なることに気が付きます。
【媒体A】で増えたリピーター客 1名
【媒体B】で増えたリピーター客 2名
それぞれ毎月通ってくれるリピーターなので、年間で考えると、
【媒体A】1名 ×11回 ×平均単価100円 = 1,100円
【媒体B】2名 ×11回 ×平均単価100円 = 2,200円
※広告を出した初回の訪問を除いています。(12か月 - 初回訪問の1か月分)
これを、先ほどの単発の売上と足して年間売り上げを計算すると、
【媒体A】単発売上1,000円 + リピーターによる年間売上1,100円 =2,100円
【媒体B】単発売上700円 + リピーターによる年間売上2,200円 = 2,900円
となり、1年という長期スパンで見ると、【媒体B】の方が優れていることになるのです。
つまり、
【媒体A】は、「直近の売上を上げたい!」という時に効果が高い媒体
【媒体B】は、「直近は少なくても、長期的な売上を上げたい!」という時に効果が高い媒体と考えられます。
「直近の売上を上げたい!」という希望を叶えてくれる媒体を探すには、“Action”すなわち行動数をベースにしたCPAを使って効果検証しましょう。
「長期的な売り上げを上げたい!」という場合は、新規を増やすことが肝心なので“Acquisition”、つまり新規顧客獲得数をベースにしたCPAを使った効果検証が有効です。
ROASとは、広告費用に対する売上の回収率を示す指標です。売上をコストで割り、100を掛けることで算出されます。
この数値が高いほど広告の費用対効果が高いことを意味します。
例えば、10万円の広告費用で50万円の売上を達成した場合、ROASは500%となり、広告費1円あたり5円の売上を生み出していることになります。
ROASは特定の広告の回収率を示す指標で、期間内の収益に対する広告費の直接的な測定値です。
一方、ROIはより広い範囲の費用対効果を表します。例えば、ROIには代理店費用や広告プランなどの要素も含みます。
両者とも収益を基準に計算されますが、ROASは広告費のみで割るのに対し、ROIは総投資額で割って算出されます。
費用対効果の高い主な広告として、5種類があります。以下にそれぞれの特徴を表にまとめたので、参考にしてください。
広告の種類 |
特徴 |
リスティング広告 | ユーザーの検索キーワードに応じて関連性の高い広告を表示 |
SNS広告 |
表示回数やクリック数に応じた課金システムにより、効率的な広告運用が可能 |
ディスプレイ広告 | 視覚的な訴求力が強く、期間保証やクリック課金など、多様な課金方式から選択できる |
動画広告 | 「完全視聴単価方式」により、動画広告の表示回数や再生時間によって課金されるもある |
記事広告 | 自社の商品やサービスの紹介記事を自社以外のメディアに掲載して認知度を向上させる |
広告の種類によって求める成果が異なりますので、自社の目的に合った広告を選択しましょう。
広告の費用対効果を高めるためには、複数の観点から見直していきましょう。
まず、広告媒体の見直しです。Google、Yahoo、Facebookなどから最適な媒体を選定し、効果の高い媒体に予算を集中させます。
媒体を決定したら、クリエイティブの改善も検討しましょう。より魅力的な訴求や画像で購買意欲をかきたてるクリエイティブを作成します。
これらの改善により、費用対効果を高められます。しかし、この改善を行う上でも、費用対効果を算出しておかなければなりません。
広告の費用対効果を測りながら自社に合った媒体を探す時は、「短期」と「長期」の視点、両方を使って、効果を見定めていきましょう。
「短期」「長期」どちらの方の効果が大事ということではありません。
状況に合わせて賢く広告の打ち出し方や媒体を選びましょう。
広告に使える費用は限られています。企画(Plan)→実行(Do)→効果測定(Check)→改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)を回し続け、最適な広告宣伝方法を見つけるために、まずは2種類のCPAを使って効果測定(C)をしてみてはいかがでしょうか?
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