中小企業のブランド戦略・パート4
自社の独自性や優位性「ポジショニングについて」

公開

中小企業だからこそ狭く深く


ポジショニングとは簡単に言うと“「ペルソナ」(見込み客)の心の中の立ち位置”ということになります。

 

あなたのブランド(商品・サービス・会社)はペルソナの心の中でどのような位置を占めるのか?をビジュアル化したものがポジショニングマップとなるのです。

 

私の経験になりますが、市場を全般的に網羅したポジションだけでは自社の価値は明確にならないものです。

 

立地一つとっても、ペルソナが駅から30分以上歩くような立地に居住していて、なおかつ通勤も車での移動が頻繁であればどうでしょうか?駅から遠いというのは一見、悪条件と捉えられがちですが、そもそもペルソナの心の中に好立地という軸は薄いものです。

 

もちろんその時々の使い勝手を考慮すれば可能ですが、小さな会社や地域密着となればなるほど、よりペルソナの内部考察からポジショニングを見ておくのが重要なことだとお分かりいただけるのではないかと思います。

「誰に」を意識した機能的価値と情緒的価値での差異化

ポジショニングマップも一つではなく、様々なペルソナの視点を考えてつくっておくことも重要です。顧客ニーズや提供できる価値でポイントを多く把握しておく必要があります。価値にも機能的価値(製品そのものが提供する価値)と情緒的価値(それ以外の感情で感じる価値)があります。

 

他にも製品の使い方や買い方なども考慮すると、様々な条件でのポジショニングが存在することが分かります。

 

また、自社のポジションだけではなく競合がどのポジションを占めているかを明確にし、仮に同じポジションにいる場合はどこで差別化がなされているか?(するべきか?)も考察しておくと良いでしょう。軸の条件を変えてみるのもオススメです。同時にこの条件だと独自性が取れない、ということを理解しておくことも今後の戦略を構築するヒントにつながります。

ポジショニングで見出された独自性がコンセプト(ブランド・アイデンティティー)

ポジショニングで明確になったペルソナの、心の中の立ち位置は文章化しましょう。

 

「在り方が決まったか?」
「方向性が示せているか?」
「価値が最大化していく可能性を感じるか?」
「力を束ねられると思うか?」

 

などを客観的にチェックしてみてください。

 

例)
スターバックス:サードプレイス
ポルシェ:壊れないプレステージスポーツカー
Afternoon Tea:日常のなかのこころのゆとりを大切にしています

 

ブランド戦略とは未来に向けてのものであり、これからの経営をどのような戦略で行っていくかをコンセプトとして整理しておくと、ブランドの浸透の基準として役立ちます。そして優れたコンセプトは社外だけでなく社内の求心力としても働きます。意識するべきは「誰に、何を、どのように」の視点が反映されているか、ブランドとしてのビジョンに沿ったものになっているか、です。今一度、自社のブランドのコンセプトをチェックしてみましょう。

 

コンセプトの具体化

ブランディングは積もるところ記憶のマネジメントです。ペルソナにどう思われたいか?を心の中に築く事で、より選ばれやすくなるのです。作ったコンセプトを基に刺激を設計していきましょう。

 

刺激の一つであるブランド要素は9つ。

 

・ネーミング
・ロゴ
・キャッチコピー
・キャラクター
・色
・パッケージ
・ジングル(音)
・匂い
・ドメイン

 

全てを作る必要はありませんが、それらがブランドイメージを心の中に作るために必要な最少単位の要素になります。

ブランドアイデンティティー(コンセプト)からの一貫性と意図

ブランディングの際にいきなり刺激の設計から入ってしまう方もいますが、私はオススメをしていません。ブランドにはある種の「意味」を含むものが望ましいと考えているからです。コンセプトを明確にしてから刺激設計をするように心掛けてみてください。

 

チェックするポイント
・コンセプトからの一貫性は?
・コンセプトの意図が伝わるものになっているか?
・継続的に使えるように意味が表現されているか?

 

独自性がペルソナの心の中でこちらの意図した記憶になるように設計していきましょう。

 
 

The following two tabs change content below.
株式会社ファンズファクトリー 代表取締役/ブランド経営プロデューサー 財団法人 ブランドマネージャー認定協会認定トレーナー。 1972年、千葉県生まれ千葉県在住。「組織を内側から強くするブランド経営プロデューサー」として、中小企業や地域密着店の売れ続ける仕組みづくりを支援している。 ホームページ:http://funsfactory.biz/ Facebook :https://www.facebook.com/naoto.kohata

■おすすめの関連コラム

  1. エシカル消費とは?企業のメリットと取り組み事例を解説

    近年、エシカル消費に注目が集まってきています。 持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みが企業...
  2. 【成功事例から学ぶ経営戦略】SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む企業のPR方法!

    現在、多くの企業が、SDGs(持続可能な開発目標)に積極的に取り組んでいます。企業の広報担当者・...
  3. 「自分史」の取り組みで「パーソナルブランディング」を確立する

    私は、「一枚の写真の自分史」という活動に取り組んでいます。これは、思い出の写真を一枚ずつ持って同...
  4. BtoB企業にとって効果的なブランディングの方法とは?

    現在、BtoB企業においても“ブランディング”を重視するところが増えています。 なぜそうしたこ...
  5. 中小企業のブランド戦略・パート3

    顧客は誰か?「ペルソナについて」情報もモノも溢れている時代だからこそ意識したいこと。ブランドづく...
  6. 中小企業のブランド戦略・パート2

    皆さんがお客さまや消費者の立場に立った時に、いくつも同じような会社やお店、商品・サービスがあって...
  7. 中小企業のブランド戦略とは

    「ブランドって何?」と問われたときに、明確に答えられる人はどれだけいるのでしょうか。「ブランド」...

PAGE NAVI

続きを読む
記事を検索
メルマガ登録者数1万以上 セミナー情報をいち早くお届け
ご提案無料 ウィズコロナ時代に合わせて販促の「見直し」してみませんか?まずはお問い合わせください。
  • 商品企画のツボ【ポジショニング戦略で穴をつく!】
    『ポジショニング戦略[新版]』アル・ライズ/ジャック・トラウト お客様と新しい商品やサービスの企画をする際は、必ず『ポジショニング戦略』を読み返します。今回はこの本を通じて、売れる商品やサービスについて説明をします。
  • 経営者の事業承継を考える
    最近の経営者同士のもっぱらの話題は、相続と事業承継です。不動産や保険関係の方などが、さまざまなセミナーや勉強会を開催しています。そして、一度話を聞くと「うちもそろそろ真剣に考えなければならないな」と思うのです。
  • 美容業界の方必見!美容業界のトレンドと今後の動向に迫…
    近年、美容業界は市場規模や出店数が緩やかに拡大・増加している一方、サービスが多様化し、競争が激化しているなど変化の最中にあります。 美容業界の経営者や店舗運営の担当者は、業界の現状を知って将来に備えることが大切です。 本記事では美容業界の現在のトレンドと、今後の展望を考えます。
  • ちいき新聞の裏側公開! サンキューレターで感謝の気持…
    コミュニケーションツールとして、サンキューレターを取り入れませんか?
  • CSR活動とは?企業や店舗におけるCSR活動のメリッ…
    CSR活動とは、企業が果たすべき社会的な責任を指します。 社会問題や労働環境などへの人々の関心は高まりつつあり、企業や店舗の経営者は、自社の経営だけでなく社会的な役割との両立も求められています。 今回はCSR活動の意味や取り組むメリット、事例を紹介します。
PAGE TOP