広告法務の安心マニュアル!公正競争規約をチェックしよう!
以前に「広告の法律」景品表示法についてシリーズでご紹介しました。
▼あなたのお店の広告は大丈夫?
「広告の法律」景品表示法についてシリーズ記事はこちら
~不当表示の優良誤認とは~
~不当表示の有利誤認とは~
~過大な景品類の規制とは~
景品表示法を遵守すれば広告表現で行政指導を受ける確率はグッと下がりますが、さらに業種・業界によって分かりやすく広告表現のルールをまとめたものが公正競争規約です。チェックすれば業界の知識も得ることができて一石二鳥です!
【目次】
1.公正競争規約の概要
2.公正競争規約を守る効果
3.表示に関する公正競争規約
4.景品類に関する公正競争規約
1.公正競争規約の概要
公正競争規約とは、景品表示法第31条の規定により、公正取引委員会・消費者庁長官の認定を受けて、事業者等が広告表示・景品類に関するものについて自主的に設定する各業界のルールです。
公正競争規約は各業界の業態に応じて、広告に表示すべきことや特定の表示をする場合の基準(例えばジュースの広告で「果汁○%」と表示する際の基準)、景品類の制限などを定めており、消費者がより良い商品を安心して選べるよう、大切な役割を担っています。
景品表示法の条文や規制は、いわば「包括的」な取り決めであり、それらを家電業界や不動産業界等の様々な業界の広告ルールとして落とし込むには、解釈のバラつきや判断に苦しむことが発生するおそれがあります。
各業界の公正競争規約は、景品表示法の取り決めを業界の業態や慣習に即して理解しやすくまとめており、各業界の従事者・広告作成担当にとっては非常に助かるマニュアルだと言えるでしょう。
公正競争規約の内容として、例えば表示に関する公正競争規約では次のようなケースが挙げられます。
(1)必要な表示事項を定めるもの(原材料名、内容量、賞味期限、製造業者名等の表示を義務付けることなど)
(2)特定事項の表示の基準を定めるもの(不動産広告の徒歩による所要時間は、80メートルにつき1分の換算で表示することなど)
(3)特定用語の表示を禁止するもの(加工乳及び乳飲料には、「牛乳」の用語を使用しないことなど)
2.公正競争規約を守る効果
公正競争規約の参加事業者は、その内容を遵守している限り、景品表示法や関係法令上問題とされることがないため、安心して広告・販売活動を行うことができます。また、公正競争規約は公正取引委員会と消費者庁長官が認定したものであり、公正競争規約に基づく事業者の行為には、独占禁止法の手続規定は適用されません。
公正競争規約は、事業者・業界が自主的に設定するルールであることから、規約に参加していない事業者には適用されません。公正競争規約に参加していない事業者が行う広告上の不当表示や過大な景品類の提供については、消費者庁が景品表示法に基づいて措置を採ることになります。
3.表示に関する公正競争規約
表示関係の公正競争規約は67規約あります。(平成29年9月30日現在)
マーガリン類 飲用乳 ナチュラルチーズ・プロセスチーズ及びチーズフード
アイスクリーム類及び氷菓 はっ酵乳、乳酸菌飲料 殺菌乳酸菌飲料
合成レモン 果実飲料等 トマト加工品 コーヒー飲料等 豆乳類
レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒー もろみ酢 食品のり
食品缶詰 粉わさび 削りぶし 凍り豆腐 生めん類 辛子めんたいこ食品
ハム・ソーセージ類 食肉 即席めん 包装食パン 鶏卵 食酢 みそ
ドレッシング類 しょうゆ 食用塩 観光土産品 はちみつ類 ビスケット類
チョコレート類 チョコレート利用食品 ローヤルゼリー チューインガム
ビール 輸入ビール ウィスキー 輸入ウィスキー 泡盛 酒類小売業
単式蒸留しょうちゅう
ペットフード 帯締め及び羽織ひも 家庭電気製品製造業 家庭電気製品小売業
釣竿 ピアノ 電子鍵盤楽器 眼鏡類 スポーツ用品 仏壇
防虫剤 化粧品 化粧石けん 歯みがき類 家庭用合成洗剤及び家庭用石けん
募集型企画旅行 指定自動車教習所業
自動車業 二輪自動車業 タイヤ 農業機械
不動産
銀行業
4.景品類に関する公正競争規約
景品関係の公正競争規約は37規約あります。(平成29年9月30日現在)
アイスクリーム類及び氷菓業 トマト加工品業 即席めん類製造業
カレー業 凍り豆腐製造業 みそ業 ソース業 しょうゆ業
チョコレート業 チューインガム業 ビスケット業
合成清酒及び連続式蒸留しょうちゅうの製造業 清酒製造業
果実酒製造業 ビール製造業 洋酒製造業 酒類輸入販売業
単式蒸留しょうちゅう製造業
ペットフード業 家庭電気製品業
化粧石けん業 歯みがき業 家庭用合成洗剤及び家庭用石けん製造業
新聞業 出版物小売業 雑誌業 旅行業 指定自動車教習所業
自動車業(二輪自動車) 農業機械業 タイヤ業
不動産業
医療用医薬品製造販売業 医療用医薬品卸売業 衛生検査所業 医療機器業
銀行業
以上になります。
こんなにたくさん…!と思われた方もいるかもしれません。ご自身が働かれている業種に該当する規約もあったのではないでしょうか?
各業界の公正競争規約は、景品表示法の取り決めを業界の業態や慣習に即して理解しやすくまとめたものですが、特に働き始めて間のない若い社会人にとっては、業界の知識も学ぶことができる教科書のような存在にもなり得るのではないでしょうか?
ぜひチェックしてみてください!