あなたのお店の広告は大丈夫?
「広告の法律」景品表示法について①
~不当表示の優良誤認とは~
広告を出すからにはお店の魅力を最大限打ち出して、他の広告より少しでも訴求効果を上げたいと思うもの。
でも、ちょっと待ってください。
あなたの広告の内容は本当に実態に即したものになっていますか?
今回は「広告の法律」といわれる景品表示法の概略と、不当表示の一つ「優良誤認」についてご説明します。
【目次】
1.そもそも景品表示法って何?
2.景品表示法が規制するものをタイプ別に把握しましょう
3.優良誤認=「誇大広告」と理解しましょう
4.優良誤認表示をしないための心構え
そもそも景品表示法って何?
景品表示法は昭和37年に制定された法律で、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。
もともと、問題のある広告表示は独占禁止法により「不公正な取引方法」として禁止されていましたが、経済の発展に伴い事業者間の販売競争が激化するにつれて、独占禁止法だけでは法的な運営が難しくなってきました。
「広告」とひとくちに言ってもさまざな業種や表現方法があり、刑法等の他法律の適用も難しかったのです。
また広告というものは短期間で打ち出され、社会への波及や影響もいわば一瞬で、なおかつ大多数の人々に及ぼされるため、迅速な法的処置が必要とされます。
景品表示法が成立する以前から、問題のある広告表示や過大な景品類の提供は、主婦を中心とした消費者の批判を受けていました。
これらを背景に、迅速な手続きで法運営ができるように、独占禁止法の特例法として、景品表示法が制定されました。
その後、景品表示法の管轄は、平成21年9月1日に公正取引委員会から消費者庁に移管されました。
この法律の目的は、問題のある広告表示や過大な景品類の提供から「消費者」を守ることにあります。
商品やサービスの質そのものの向上を図ることが第一であり、それを社会に周知させるとき(広告を出すとき)に、「一般消費者による自主的かつ合理的な選択」を阻害してはならないと、景品表示法は謳っています。
景品表示法が規制するものをタイプ別に把握しましょう
景品表示法が規制するものは大きく分けて2つあります。
・不当表示の禁止
・過大な景品類の規制
不当表示の禁止は「景品表示法第4条(不当な表示の禁止)」として定められており、これはさらに2つのパターンに大きく分けることができます。
・優良誤認
・有利誤認
また、「誤認されるおそれのある表示」として「商品の原産国に関する不当な表示」「おとり広告に関する表示」などが個別に定められています。
過大な景品類の規制は「景品表示法第3条(景品類の制限及び禁止)」として定められており、景品類の提供の仕方で
・総付景品
・一般懸賞
・共同懸賞
・カード合わせ
・業種別景品告示(新聞業・雑誌業・不動産業 他)
の4種に分けられます。
優良誤認=「誇大広告」と理解しましょう
景品表示法が規制する不当表示の禁止、その一つである「優良誤認」とはどういったものなのでしょうか?
優良誤認とは、一言でいうと「誇大広告」です。
広告主が、自己が販売・取引する商品・サービスにおいて、その品質や規格、その他の内容について、一般消費者に対し、
1.実際のものよりも著しく優良であると示すもの
2.事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの
であって、不当に顧客に訴求し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示が優良誤認表示とされ、禁止されています(景品表示法第5条第1号)。
ようするに、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って広告表示したり、同業他社の商品・サービスよりも(特に優れているわけではないのに)とても優れているかのように偽って広告表示する行為が優良誤認とみなされるわけで、これは一般的な認識における「誇大広告」のことだと認識すれば理解しやすいでしょう。
なお、優良誤認は広告主が「故意に」偽って広告表示する場合だけでなく、「誤って」広告表示してしまった場合であっても、あくまでその広告表示が優良誤認であると判断されれば、景品表示法による処分を受けることになりますので注意してください。
どの会社においても、時代が進み事業活動は複雑化・分業化されています。
広告を出すにも代理店に全てお任せで、具体的な広告内容についてその表示の「責任」の感覚を持ちづらくなることもありますが、「当事者意識」が思わぬトラブルに見舞われないための最善策といえるでしょう。
優良誤認表示をしないための心構え
それでは、実際にどのような広告表示をすると優良誤認となってしまうのでしょうか?
・エステティックサロンの広告
「当コースに通えば3か月で-10kg!しかもバストサイズは変わりません!」
・洗顔料の広告
「シミやくすみも洗顔だけで洗い流せます!」
・調理器具の広告
「○万回使っても傷のつかないフライパン!」
以上のような広告表示をしたとして、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を行政から求められ、その資料が広告表示の裏付けとなる根拠を有していると認められなければ、優良誤認と判断されます。
実際にこの種の広告表示を行い、優良誤認であると消費者庁から処分を下される事業者が、このところ急増しています。
上記の事例を見れば優良誤認をしないための心構えが自然と理解できるかもしれませんが、大事なことは、都合のいい情報だけをピックアップし大々的に打ち出し、それが誰でも享受できることだと思わせることは危険ということです。
年々、景品表示法の取締りは厳しくなっています。
一方、マーケティング手法は時代とともに多様化しています。
広告主であり商品・サービスの供給者であるご自身がそれらを正当に見つめ直し、最適なマーケティング手法で誠実に広告発信することが、法的トラブルのない広告効果の出し方です。
販促の心構えとしても、しっかりと身に付けていきましょう!