クレームは命取り!注意すべき広告の表現とは?①

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「クレーム」「炎上」「苦情」という言葉がニュースを賑わせて久しくなりました。

 

それらは広告マーケティングにおいても無関係ではなく、むしろ、最大限注意しなければならない問題です。クレームが発生しやすいと思われる広告の表現をタイプ別にまとめてご紹介します。しっかりと確認し公平・誠実な広告づくりを心掛けましょう!

 

【目次】
1.せっかく広告を出しても…その表現にクレームがつく可能性も!
2.広告表現へのクレームによる損害
3.注意すべき広告の表現~性に関するもの~
4.注意すべき広告の表現~政治に関するもの~

1.せっかく広告を出しても…その表現にクレームがつく可能性も!

よく、テレビで流れていたCMが短期間でパッタリと見掛けなくなったり、ネットニュースなどで「某企業のCMが表現に問題があるため放送中止に」という記事を見たりした経験はありませんか?

 

「CMや広告なんて流して見るからいちいち気にしていない」という方が多数かもしれません。瞬間的に認識される=ディテールは把握されないという形式が、ある意味では広告の本質ともいえるでしょう。

 

もちろん、作り込まれたCM・広告を大多数の受け手が細部まで受け取り、感動や共感を覚えることが理想であり、作り手冥利に尽きることであるのは間違いありません。公益社団法人日本広告審査機構(JARO)に寄せられた平成28年度の「苦情」の件数は7,019件、前年比117.0%という非常に大きな値を示しています。

 

私達がニュースなどで知ることができる広告表現の問題事例は、大企業が全国放送のCMでバンバン流しているものがほとんどと思われます。しかし現実として、上記の数字に見られるような大小さまざまなクレームが、広告全般に対して寄せられているのです。

これからの時代、そうした現実に無関心でいることが許されるでしょうか?

 

当たり前の話ですが、自社やその商品を広く認知させ共感を誘い、人々にポジティブなイメージを持ってもらい購買行動を促すことが、広告を出す目的です。「憎悪」や「嫌悪」を広く認知させることが目的ではありません。マーケティングや実益重視に走り過ぎると、案外そういった大原則が疎かになりがちです。

2.広告表現へのクレームによる損害

実際に、広告表現に対してクレームがついてしまった場合、どのような損害が考えられるでしょうか?

大きく2つのタイプに分けられると考えられます。

 

・無駄な費用や労力の発生による経済的な損害

・企業・商品イメージの損害

 

1つ目の損害は経済的な損害です。
少なくない費用を広告代理店や制作会社に払い、広告の出来栄えを何度もチェックし時には何度も作り直し、それにもかなりの労力や時間を割きやっと出来た広告がクレームの対象に…。今まで掛けたコストは本当にもったいないけれど、もうこの広告を世間の目に触れさせるわけにはいかない…。自主回収や違約金・キャンセル料などでまたコストが発生する…。

 

以上のようなケースですね。単純に無駄と言いますか、余計な費用と労力と時間が使われることになってしまいます。避けるに越したことはありません。

 

2つ目は企業・商品イメージの損害です。
重要なことですが、こちらの損害の方がはるかに深刻なのです。

 

例えば、化粧品会社のような顧客の大多数が女性である企業のCMで、女性差別や女性蔑視と受け止められるような表現をすれば、どうなるでしょうか?日本は超高齢社会といわれていますが、高齢者全般を蔑ろにしていると受け止められるような広告表現をすれば、どうなるでしょうか?

 

理屈としては単純過ぎるかもしれませんが、たった1つの広告によって顧客の大半を失う可能性もあるのです。

また、企業イメージの損害となると、上場企業であれば株価にも影響します。直接的な経済的な損害にもつながるのです。

3.注意すべき広告の表現~性に関するもの~

これから個別具体的に、クレームが発生しやすいと思われる広告の表現をタイプ別にまとめご紹介していきます。

 

性に関するもの
(特定の性への差別・蔑視、セクシュアル・ハラスメント)

 

これは頻繁に問題となり、炎上を引き起こしているタイプです。過去の事例を検証してみると、特に女性への差別・蔑視と受け止められるような広告表現が、多く問題となっています。女性の社会進出や活躍はもはや当たり前のものとなっています。また、市場のトレンドを作り出しているのは女性だと言っても過言ではありません。

 

マーケティングや商品・サービスの「消費者」という観点で見ても、女性にウケないものでヒットが生まれるというのは、あまり現実的ではないのです。

もちろん、男性のアイデンティティーを侮蔑するような表現もご法度ですが、くれぐれも性に関する広告表現には慎重になってください。企業・商品イメージの大きな損害につながる恐れがあります。

 

具体例を挙げると、以下のようなものが考えられます。

 

・家事(料理・掃除・洗濯など)や育児は女性のすることと受け止められるような表現。
またそうした価値観を変に茶化すような表現。

 

・いわゆる「性的な刺激が強い」表現、もしくは連想させるような表現。
水着や下着、半裸の人物が出てくる。キスシーンがある。シチュエーションや言葉・台詞が性行為を連想させるような表現。特に子どもがそういう表現の対象となっているものは厳禁。

 

・容姿や年齢に関して、特定の対象を侮蔑していると受け止められる表現。
茶化したり「笑い」を誘うように作っているつもりでも「セクハラ」「不快」という印象しか与えない可能性があります。また、何らかの意図で「あえて」そう表現しているのかもしれませんが「若くない女性には価値が乏しい」などと伝わるような表現は、普通は問題であると思われるでしょう。

 

・男性が女性を、または女性が男性を「囲う」ような文脈の表現。また、浮気・不倫を連想させるような表現。

表現の仕方はいろいろありますが、特に「不道徳」「不快」という声が出やすい表現です。

4.注意すべき広告の表現~政治に関するもの~

政治に関するもの
(政治もしくは社会問題、事件に関するもの)

 

これは、政治や社会問題に対する意見や提言を広告として出すことを否定することでは決してありません。

 

重要なことは、表現の仕方によっては受け手に誤解を与えてしまったり、意図とは違った認識を与えてしまったりすることのリスクを考えるべきということです。

 

具体例を挙げると、以下のようなものが考えられます。

 

・国内外を問わず、特定の政党・政治家、特に独裁者・独裁政党というイメージがあるものを安易に扱い、連想させるような表現。
国際問題になる可能性もあります。

 

・選挙に関する表現。
フィクションとはいえ、「選挙」「出馬」という単語を出すのは注意が必要と思います。受け手に誤解を与える可能性が高く、茶化しているつもりでも冗談にならないケースです。

 

・国内外の社会問題を絡めた表現。
これは決して一概には言えません。ただ、大多数の人がネガティブに捉えている特定の社会問題を「肯定している」と受け止められる恐れのある表現は、やはり問題になりやすいと言えるでしょう。

 

・過去の人命が絡んだ大事件を連想させるような表現。
これに関しては、そもそもそのような表現を選択する必要があるのか、まず冷静に考えてみるべきでしょう。

 

次回も、クレームが発生しやすいと思われる広告の表現をタイプ別にまとめご紹介していきます。是非役立ててください!

 
 

まとめ

野澤
女性を蔑視するような広告表現は厳禁です!また政治や社会問題をモチーフに扱うのも慎重になりましょう。「冗談・ユーモア」と受け止めるかどうかは読者の自由ですよ!
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野澤 宏樹
株式会社地域新聞社制作1部校正校閲課 WEB広告・WEBコンテンツのチェックをメインに担当 2007年に入社。『ちいき新聞』が手掛けるさまざまな業種の広告の校正校閲に従事、また外注化も推し進め部署の生産性向上も果たす。地域新聞社運営のWEB媒体 『チイコミ!』『ちいき新聞web』『販促の大学』の校正校閲のメイン担当となり、広告の規制という観点から情報発信も行う。「校正技能検定上級(旧三級)」「ビジネス実務法務検定2級」「知的財産管理技能士」「認定コンプライアンス・アドバイザー」「色彩検定」「特別会員一種証券外務員」「ファイナンシャル・プランニング技能士」などの資格取得を活かし、攻めと守りを兼ね備えた広告マーケティングの研究を続けている。
野澤 宏樹

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