特定商取引法の規制ルールを理解しトラブルを生まない広告づくりを!①

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誰でも一度はネット通販やエステ、語学教室などを利用したことがあるのではないでしょうか?また、電話で勧誘を受けたり、街を歩いていたらセールスに引き止められたという経験もあるのでは? 
そうした商取引で消費者を保護するルールが特定商取引法です。広告規制も定められたルールですので確実に理解し、トラブルを生まない広告を作りましょう!
 
【目次】
1.特定商取引法のルールの目的と広告などの規制対象
2.通信販売の広告の必要表示事項に関するルール

1.特定商取引法のルールの目的と広告などの規制対象

特定商取引法は、詐欺・強迫といった悪質な勧誘行為や、広告における虚偽表示・不当表示などを防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。
 
特定商取引法の対象となる取引類型は7つあり、
 
 ・訪問販売
 ・通信販売
 ・電話勧誘販売
 ・連鎖販売取引
 ・特定継続的役務提供
 ・業務提供誘引販売取引
 ・訪問購入
 
となります。
 
この中で広告規制があり、なおかつ広く社会に広まっている取引類型として
 ・通信販売
 ・特定継続的役務提供
が挙げられます。
 
まずは通信販売の広告の規制ルールについて解説します。

2.通信販売の広告の必要表示事項に関するルール

通信販売とは、新聞・雑誌・テレビ・インターネット広告やDM・チラシなどを見た消費者が、郵便・電話・FAX・インターネットなどで購入の申し込みをする取引方法です(電話勧誘販売に該当する場合は除く)
また特定商取引法上、
 ・営業のため、または営業として契約するもの(事業者間契約)
 ・海外にいる人に対する契約
 ・事業者がその従業員に対して行った販売またはサービスの提供の場合
などにおいては、規制ルールが適用されません。
 
通信販売は直接店舗で販売スタッフと接するものではないので、消費者にとって広告内容が唯一の情報です。広告の記載内容が不十分で不明瞭だと、トラブルに直結してしまいます。それを防止するため、特定商取引法では広告の必要表示事項に関するルールを定めています。
 
 ① 販売価格(送料についても表示が必要)
 ② 代金の支払い時期、方法
 ③ 商品の引渡時期
 ④ 商品の売買契約の申し込みの撤回・解除に関する事項(返品特約の旨)
 ⑤ 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
 ⑥ 事業者が法人であってホームページ・電子メールなどで広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
 ⑦ 申し込みの有効期限があるときには、その期限
 ⑧ 販売価格、送料以外に負担する金銭があるときには、その内容および額
 ⑨ 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
 ⑩ ソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
 ⑪ 商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件
 ⑫ 商品の販売数の制限といった特別な販売条件があるときには、その内容
 ⑬ 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
 ⑭ 電子メールによる広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
 
となっています。(広告のスペースは媒体により千差万別であるため、一定の条件やケースにおいて上記の広告の必要表示事項を一部省略することができます)
 
 
次回は特定商取引法の通信販売の広告における規制ルールのうち、禁止事項とされているものについて解説します。
通信販売は基本的に広告内容だけを見て購入を決める必要がある取引です。広告の規制ルールは比較的固めに設定されていますが、消費者(お客様)ファーストの姿勢で広告づくりをしていきましょう!

 
 

まとめ

野澤
特定商取引法の対象となる取引類型は7つ。 そのうち通信販売は雑誌・テレビ・インターネットなどを見て申し込む取引。 トラブルになりやすい取引なので必要表示事項をしっかり押さえよう!
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株式会社地域新聞社制作1部校正校閲課 WEB広告・WEBコンテンツのチェックをメインに担当 2007年に入社。『ちいき新聞』が手掛けるさまざまな業種の広告の校正校閲に従事、また外注化も推し進め部署の生産性向上も果たす。地域新聞社運営のWEB媒体 『チイコミ!』『ちいき新聞web』『販促の大学』の校正校閲のメイン担当となり、広告の規制という観点から情報発信も行う。「校正技能検定上級(旧三級)」「ビジネス実務法務検定2級」「知的財産管理技能士」「認定コンプライアンス・アドバイザー」「色彩検定」「特別会員一種証券外務員」「ファイナンシャル・プランニング技能士」などの資格取得を活かし、攻めと守りを兼ね備えた広告マーケティングの研究を続けている。

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