改正薬事法(薬機法)を理解し広告マーケティングに活かそう!①

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超高齢社会となった日本。

それに呼応するように「年を取っても健康でいたい」「病気にならないように健康な体を維持したい」という人々のニーズから、ヘルスケア市場は拡大しています。

 

改正薬事法(薬機法)は、広告マーケティングとヘルスケア事業を結び付け、成功させるために必ず理解すべき法律です。しっかりと理解して業務に活かしましょう!

 

【目次】
1.ヘルスケア市場の現状と未来
2.改正薬事法(薬機法)とは
3.改正薬事法(薬機法)と広告規制
4.改正薬事法(薬機法)における広告規制の基本的な考え方

1.ヘルスケア市場の現状と未来

総人口に対して65歳以上の高齢者人口が占める割合を高齢化率といいます。これが7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」、21%を超えた社会を「超高齢社会」と呼びます。

 

日本の高齢化率は2007年に21.5%となり、超高齢社会に突入しました。2016年10月1日現在で、日本の高齢化率は27.3%ととても高い数値を示しており、世界的にも注目されています。老齢に差し掛かるとどうしても病気になりやすくなりますが、長く健康でいたい、病気にならない体づくりをしたいと思うのが一般的な感情だといえます。

 

現在から将来にわたって、消費者は「健康であること」「健康を維持すること」のためにお金を使うであろうことは、確実であると言えるでしょう。

 

ヘルスケア市場は、2030年には国内だけで37兆円規模にもなると言われており、医療・ヘルスケアのマーケットが日本経済の「中心」になるであろうという見通しもあります。自社の事業においても、強弱の差はあれども、この分野にコミットする価値は高いと思われるでしょう。そしてヘルスケア領域とマーケティング、特に広告マーケティングの関係において理解すべきルールが、改正薬事法(薬機法)なのです。

2.改正薬事法(薬機法)とは

「薬事法」は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の、品質・有効性・安全性の確保のための規制と、研究開発に求められる措置を行い、広く一般の保健衛生の発展を講じることを目的とする法律として、昭和35年に制定されました。その後、薬事法は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と法改正されました(平成26年11月25日施行)。ここでは、略称として「薬機法」という表記を用います。 

 

改正内容のポイントとしては、

 

① 医薬品・医療機器等の安全対策強化。
② 医療機器の製造業を許可制から登録制に。
③ 再生医療等製品の規制において、安全性を確保しつつ迅速な実用化を図る。

 

といったことが挙げられます。

3.改正薬事法(薬機法)と広告規制

薬機法は、一般的な「広告」においてどのような規制を課しているのでしょうか?
広告における規制の概略を挙げると、

 

・虚偽・誇大広告等の禁止(薬事法第66条)
  医薬品等の名称、製造方法、効能・効果、性能に関する虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布の禁止。
  医師等が保証したと誤解を与えるおそれのある記事の広告・記述・流布の禁止。
  堕胎暗示、わいせつ文書・図画の使用禁止。

 

・特定疾病用医薬品の広告の制限(同法第67条)
  使用に当たって、高度な専門性が要求される、がん、肉腫及び白血病の医薬品の医薬関係者以外の一般人を対象とする広告の制限。

 

・承認前医薬品等の広告の禁止(同法第68条)
  承認(又は認証)前の医薬品又は医療機器について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告の禁止。

 

といったものがあります。

また、薬機法におけるこれらの広告規制を補完するものとして

 

医薬品等適正広告基準

 

が厚生労働省より出されています。

 

医薬品等の広告が虚偽、誇大にわたらないようにするとともにその適正化を図ることが目的とされ、広告を行う者の責務として、使用者が当該医薬品等を適正に使用することができるよう、正確な情報の伝達に努めることとしています。

 

主な基準として、

・虚偽、誇大なおそれのある広告の禁止
・医薬品等の過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の禁止
・医療用医薬品等の一般人向け広告の禁止
・他社製品のひぼう広告の制限
・医薬関係者等の推せん表現の禁止
・医薬品等の品位の保持

 

等を挙げています。

4.改正薬事法(薬機法)における広告規制の基本的な考え方

ヘルスケア市場の拡大により、健康食品や健康器具、化粧品やサプリメントなどさまざまな商品が出回っていますが、薬機法における広告規制の代表的な考え方として、医薬品・医療機器等の承認・認証を受けていない商品に、医薬品のような効能効果を表す広告は禁ずるというものがあります。原則として、薬や医療機器として国から認められていないものに、病気の治療や予防に役立つといった表現をすることは禁止されています。

 

以上を踏まえて、次回から改正薬事法(薬機法)における広告の対処法として、より実践的な説明をしていきます。しっかりと理解し、マーケティングに活かしてください!

 
 

まとめ

野澤
「薬」として国から認められていない商品を、病気の治療や予防に役立つと広告表現することは薬機法抵触のリスクがあります。薬機法は厳格な法律ですので、広告表現には細心の注意を払ってください。

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株式会社地域新聞社制作1部校正校閲課 WEB広告・WEBコンテンツのチェックをメインに担当 2007年に入社。『ちいき新聞』が手掛けるさまざまな業種の広告の校正校閲に従事、また外注化も推し進め部署の生産性向上も果たす。地域新聞社運営のWEB媒体 『チイコミ!』『ちいき新聞web』『販促の大学』の校正校閲のメイン担当となり、広告の規制という観点から情報発信も行う。「校正技能検定上級(旧三級)」「ビジネス実務法務検定2級」「知的財産管理技能士」「認定コンプライアンス・アドバイザー」「色彩検定」「特別会員一種証券外務員」「ファイナンシャル・プランニング技能士」などの資格取得を活かし、攻めと守りを兼ね備えた広告マーケティングの研究を続けている。

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