海外サッカークラブチーム
カンボジア「アンコールタイガー」ナイジェリア「イガンムタイガー」オーナー
加藤 明拓(あきひろ)さん~BackBone vol.6

公開

株式会社地域新聞社代表取締役・山田旬が、千葉県にゆかりのある起業家・経営者にインタビューを行い、その生き方、考え方の背骨を探るシリーズです。

第六弾となるインタビューは高校サッカーインターハイ全国優勝、将来は社長になると決めて大学進学。カンボジアとナイジェリアのサッカーチームオーナーでウェブ3領域にも積極的に進出している、加藤明拓さんのBackBoneをお聞きしました。

株式会社タイガーブランディング
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まずは加藤さんの経歴を教えてください

千葉県船橋市夏見で3人兄弟の末っ子で生まれ、保険代理店の個人事業主の父と母のもとに育ちました。兄二人がサッカーをしていたので自然と小学4年生からサッカーを始め、小学生の船橋市選抜、千葉県選抜に入ることが出来ました。ビリからスタートしてレギュラーになった経験を通じて、努力すれば結果は出ると自信を持てるようになり、何でも物事をポジティブに捉えられるようになりましたね。

中学でも船橋市選抜、千葉県選抜に選ばれ、1年生の時から試合に出ていました。転換点は中学3年生の時に日本でのサッカー人気が高まってきた頃です。日本ではスター選手でも年俸が1.5~2億円程度。少なくはないけれど、そんなに多くもないと感じていて。それだったら自分がサッカー選手になるよりも、選手の年俸を上げる側になる。お金を持つには社長になった方がいいと考えたんです。

高校は八千代高校に進学しました。サッカーが義務感になりつつあった時期で練習に身が入らずに2年生でレギュラーだったのが3年になってレギュラー落ち、大学進学も考えるようになり勉強に専念しました。すると義務感が外れたのか逆にサッカーが楽しくできるようになったんです。楽しんでいると自然とパフォーマンスも向上。レギュラーに復活し、高校3年の夏にインターハイで全国優勝し、優秀選手にも選ばれました。勝てたのは個人の力量よりも、組織の力とモチベーションが大きいと気付かされました。

ちょうどその頃、家庭で大きなことが起きました。父親が癌になり余命7カ月と宣告されたのです。すごいショックで毎日泣きました。でも、泣いていても事態は変わらないし、それだったら正月に開催する全国高校選手権にむけて全力で取り組んで、父をもう1回喜ばせようと決意し、気持ちを切り替えました。残念ながら千葉県決勝で負けてしまいましたが、対戦相手はその年の全国優勝校。1月中旬にサッカー引退、3月に父親が55歳で他界しました。それまで友達と遊びに行くことなど好きなことも我慢してストイックに過ごしていましたが、「人生は1回きり。それなら好きなことをしよう」と決めたきっかけになりました。

大学は明治大学法学部に進学。サッカー推薦の話もありましたが、選手としてサッカーはやらないと決めていました。地元で小学校低学年にサッカーを教えるチームを運営したり、バックパッカーとして東南アジアを中心に旅をしたりしていました。サッカーを辞めたことで本気で取り組むことがなくなり、少しつまらなく感じていたのですが、チーム運営や旅を通じて「何かに本気で取り組めることがあることって楽しいんだな」と思いましたね。そこで「モチベーション」が大事だと再確認。なので就職活動も「モチベーション」で調べて、出てきたのがリンクアンドモチベーション社。ここに内定をいただきました。

モチベーションがここで繋がるんですね。就職されていかがでした

最終面接の時も、将来は独立しますと言い切っていました。仕事はとても忙しいと聞いていましたがその通りでした(笑)。就職活動時もスーツを着ずにタートルネックで行っていたのでそんな自由な社風も合っていました。

初めは採用コンサル事業部で2年勤務。その後、会社としてスポーツコンサルティング事業を始めることになり、その部署に任命されて3年くらい勤務しました。最後は執行役員としてブランドコンサルティング事業部に5年の合計10年ほど在籍という経緯です。プロ選手のセルフコントロールや管理者のマネジメント方法などを言語化してコンサルしていました。

その後はブランドコンサルティング事業部に異動し、最後は事業責任者としてすべてを任せてもらっていましたので、のちに社長になるときに役立ちました。

28歳の頃くらいの話ですが、社長になると決めて入社したのにまだ独立していないとモヤモヤと考え始めるようになりました。父が55歳で他界したので、ちょうど今が人生の折り返し。自分の存在意義や何を目標に生きているんだろうなと。ちょうどメッシ選手が出てきた時で小さい体なのに大活躍していて、日本からもこういう選手出てきたら夢や希望、勇気が持てるとふと思ったんです。その辺りから「メッシ超え、バルサ超え」というものを考え始めて32歳で独立しました。2004年1月に会社を設立し、メイン事業のブランドコンサルは順調でした。

会社設立して1年目の2015年にカンボジアのサッカークラブ、2016年にナイジェリアのクラブに出資しました。カンボジアのチームは毎年赤字でした。ブランドコンサルで稼いだ利益を、サッカークラブの赤字補填にまわす状況。そんなある時、EOのメンターに「今のままだったら単なる中小企業の親父になるから、事業を集中させなさい」と言われて。一旦サッカーは赤字だから止めて、コンサル業を伸ばしなさいということだったんですが、僕は逆に捉えてサッカーだけやると判断しました(苦笑)。

父が55歳で亡くなって、自分がその年齢に近づく2035年を一つの節目と考えると、もっとサッカーに関わる仕事に集中したい気持ちが強まったからかもしれません。

サッカークラブを買うきっかけは何だったんですか

東南アジアが伸びていると思ったんです。20年前バックパッカーで回っていた時とは全然違ってエネルギーに満ち溢れていたんです。たまたま「カンボジアのサッカークラブを誰か助けてください」という投稿がfacebookで流れてきて、すぐに「興味がある」とDMを送ったのがきっかけです。財務状況も教えてもらって、初年度は赤字が出ることは分かっていましたが、今までの経験から2年目には簡単に利益を出せると思っていました。


カンボジア「Angkor Tiger FC(アンコールタイガー)」
クラブミッション:カンボジアの夢と希望と勇気の象徴として、国⺠の⽣活に⽋かせない⼼の潤いとなる

 

その後、ナイジェリアのバヨという男性と知り合いました。彼はスラム街生まれで「ナイジェリア人はチャンスが全然ないから、カンボジアのチームと提携させてほしい」と相談されたのです。気になってナイジェリアを調べたら、GDPはアフリカナンバーワン、国民の平均年齢が18歳。国としてはこれから伸びるし、ポテンシャルある選手もたくさんいると確信しました。

ナイジェリア「Iganmu FC(イガンムタイガー)」
クラブミッション:世界のトップで活躍できる選⼿を輩出し、クラブワールドカップを優勝し、ナイジェリアの希望の星となる

どうやって赤字を解消されたんですか

サッカーは人気があるので、その人気を活かして伸びるビジネスしようと考えました。

カンボジアで伸びているのは不動産と金融。金融事業では『タイガーキャッシュ』をつくり、この事業で利益を出すことができてなんとかトントン近くまでなっています。現在は『タイガーリゾート』というホテル事業、『タイガーラーメン』という飲食店にも乗り出し複数の事業基盤を作っていきたいと思っています。この事業中心に利益を出すことが出来ました。


Tiger Cash(タイガーキャッシュ):バイク・⾞のリース、⼟地担保の⼩⼝⾦融 将来的には与信にも繋げたい


Angkor Tiger Resort(タイガーリゾート):2022年1月 ホテルオープン


Tiger Fitness & Tiger Ramen:ホテル併設でラーメンとジム

カンボジアではどんなことを実現したいですか

内戦があってから経済やサッカーも壊され、教育も遅れています。タイガーみたいに勇気を持って俺も頑張ろう、やってみようと思えてもらったら嬉しいですね。そういう夢の連鎖からミッションの「メッシ超え、バルサ超え」を実現したいと考えています。1000戸を超える住宅地の中央にスタジアムを建設中で観光客誘致もしながら街の発展に貢献したいですね。

Tiger Army タイガーのコアサポーター集団。合⾔葉は「We will support Tiger till the end」(死ぬまでタイガーを応援する)

ナイジェリアではいかがですか

世界のサッカー界は財力がある上位層が強い、ピラミッド型の生態系ができていてその生態系の中で上に上がっていくことは難しいと考えています。なのでサッカービジネスだけで収益基盤を作るために事業をやるというのがベースの考え方です。

そのためにナイジェリアの社会課題を考えて出たアイデアの一つが「栄養不足の解決」。カタツムリはタンパク質が豊富なんです。しかも大きくなると一匹1キロくらい大きくなる。その一方でナイジェリアの人口が今2億人で20年後には4億人になり需要も高まる。栄養不足解消の食料事情を改善しようとカタツムリの養殖を始めているんです。ちょうどファームが完成して、これから親カタツムリを買いに行く段階。2023年6月には本格スタートする予定です。


ナイジェリアで⾷⽤カタツムリの養殖事業開始。⼈⼝2億、20年後に4億⼈の栄養不⾜解消に貢献すべくナイジェリアNo.1ファームを⽬指す。

その他の構想もありますか

ウェブ3の領域に出ていこうと考えています。『タイガーコイン』を発行し、IEO(暗号資産取引所に上場)させて世界中の人が応援できるサッカークラブ作っていきたいですね。5年後、10年後にはスタジアムでリアルな熱狂を感じながら観る人やメタバース空間で観る人もいる。アバターで観たり、同時に自動翻訳ができればメタバース空間で日本人とカンボジア人とナイジェリア人が一緒にアンコールタイガーの試合を見て楽しむこともできるイメージです。


⽇本でフィナンシェ社からタイガートークンを発行


イガンムトークンも発行予定

最後に夢は何ですか

これはもうサッカーで世界No.1になることです。サッカーの後進国のアジア・アフリカから世界に出ていく。一歩が踏み出せないとか、やりたいけど勇気が出ないとか、そういう人たちが諦めないで、頑張ろう、やろうという気持ちの連鎖を生み出したいですね。

 

取材後記

恩返しを大事にしていると語る加藤さん。学生時代バックパッカーで行った東南アジアに時代とともにパワーを感じ、コロナで疲弊した街をみてウェブ3を取り入れて再興させようと実行する力。「受けた恩は必ず返す」との言葉に背骨を感じました。メッシを超える選手、バルサを超えるチームを創り上げると確信しています。

 

 

プロフィール

加藤 明拓(かとう あきひろ)
1981年生まれ。千葉県船橋市出身。明治大学法学部卒。八千代高校サッカー部にてインターハイ優勝、優秀選手に選ばれる。コンサルタント会社を経て32歳で株式会社フォワード創業。2015年現アンコールタイガー買収、2016年現イガムFC出資・共同オーナー、2020年株式会社タイガーブランディング設立。

株式会社タイガーブランディング
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山田 旬(やまだ じゅん)
1970年東京都中野区生まれ。日本大学商学部卒。「生保は金融機関のデパートです」「一国一城の主になれる」キャッチコピーに惹かれ大手生保入社。2004年株式会社地域新聞社入社。狩猟型単独営業から農耕型チーム営業へ営業プロセス改革。創業者勇退により2019年11月より代表取締役社長就任。趣味はジョギング、読書。

株式会社地域新聞社

 

 

「千葉イノベーションベース」について

千葉イノベーションベース(CIB)は千葉県内のメディアや金融、ならびに行政、そして国内最先端の技術を有する会社など各所が強みを生かし、アントレプレナーシップを持つ千葉県民の方々に、新たな成長の場をお届けすることを目指し立ち上げられた一般社団法人です。

2022年2月に法人化、株式会社ファインドスターグループ代表取締役の内藤真一郎様が代表理事を務め、現在千葉県内の企業が次々と参画しています。当社からは代表取締役社長の山田旬が参加をしております。

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