特定商取引法の中で広告規制があり、なおかつ広く社会に広まっている取引類型として、通信販売と特定継続的役務提供が挙げられます。今回は特定継続的役務提供について解説します。耳慣れない言葉ですが皆さんがよく利用するお店も特定継続的役務提供に該当しているかもしれません。しっかりチェックしましょう!
【目次】
1.特定商取引法における特定継続的役務提供
2.特定継続的役務提供の規制ルール
1.特定商取引法における特定継続的役務提供
「役務(えきむ)」とはいわゆるサービスのことを言います。
「特定継続的役務」とは、サービス提供を受ける者の身体の美化、知識・技能の向上などの目的を実現させるために誘引されるが、その目的の実現が確実でないという特徴を持つ有料サービスを意味します。
より具体的に言うと「特定継続的役務提供」とは、長期・継続的なサービスの提供と、高額の対価を設定する取引のことであり、現在、
①エステティック
②美容医療
③語学教室
④家庭教師
⑤学習塾
⑥結婚相手紹介サービス
⑦パソコン教室
の7つのサービス(業態)が対象とされています。
また特定商取引法上、事業者間取引の場合、
・海外にいる人に対する契約
・事業者がその従業員に対して行った販売またはサービスの提供の場合
などにおいては、規制ルールが適用されません。
2.特定継続的役務提供の規制ルール
特定商取引法の特定継続的役務提供の広告の規制ルールとして、特定商取引法の第43条において「誇大広告等の禁止」がうたわれています。特定商取引法は、誇大広告や著しく事実と反する広告による消費者トラブルを防止するために、サービス内容などについて「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁止しています。
違反事例として、
あるエステティック店が広告で実際には、契約代金を一括で支払った場合の1か月当たりの料金が9,500円という計算になるだけのところを「月額制」「通常月額9,500円」などと単価9,500円の契約を任意の月単位で契約できる制度であるかのように広告表示をした。さらに「今なら初月+2ヶ月目も0円、〇〇〇〇年2月28日まで!」と申し込みの有効期限があるかのように表示していたが、実際には期限を過ぎても「3月31日まで」「4月30日まで」と同様の表示を繰り返し、料金や支払時期・方法について、実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような広告表示を行っていた。
として虚偽誇大広告と判断され、別件の違反と合わせて消費者庁より業務停止命令を受けています。
特定商取引法における特定継続的役務提供の対象業態は、中長期にわたり比較的高額な料金を払う必要があり、かつ成果の実現が確実ではないという特徴があるため消費者トラブルが起きやすいものと言えるかもしれません。
お客様との信頼関係をしっかりと結ぶためにも、誠実かつ配慮の行き届いた広告づくりをしていきましょう!
まとめ
特定商取引法の特定継続的役務提供は
①エステティック
②美容医療
③語学教室
④家庭教師
⑤学習塾
⑥結婚相手紹介サービス
⑦パソコン教室
の7つのサービス(業態)が対象とされています。
広告の規制ルールとして「誇大広告等の禁止」が謳われているので、料金説明などで誤認されない広告づくりをしましょう!