改正薬事法(薬機法)を理解し広告マーケティングに活かそう!②

前回は、ヘルスケア市場の現状と未来についてご説明し、改正薬事法(薬機法)の概略と、その広告規制に関する基本的な内容をご紹介しました。今回は、「虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)」に抵触するおそれのある具体的な事例を挙げていきます。「知らなかった」では済まされないのが法律です。しっかりと理解しましょう!

 

【目次】
1.「9割以上が改善」は誇大?
2.before・after表現はOK?
3.「アンチエイジング」表現は問題ない?
4.「美白・ホワイトニング」効果は謳える?

1.「9割以上が改善」は誇大?

例えば薬用クリームの広告で、使用者の体験談と、効能効果の経過を示す折線グラフとともに「9割以上の人が改善しています」と表記することはできるでしょうか?まず、薬用クリームはいわゆる「医薬部外品」と呼ばれるものであり、薬機法の適用対象となります。ちなみに、染毛剤、パーマネント・ウェーブ用剤、浴用剤、薬用化粧品、薬用歯みがき、殺虫剤等も医薬部外品とされています。

 

これらの表現を薬機法第66条、及び厚生労働省より出されている医薬品等適正広告基準の規制と照らし合わせてみます。

 

まず使用者の体験談については、効能効果や安全性を裏付ける客観的事実とはならず、消費者に対し誤解を与えるおそれがあるので用いないこととされています。(使用できるのは目薬等の一部の医薬品や化粧品における「使用感」等に限られます)そして効能効果の経過を示す折線グラフについては、一般向けの広告において臨床データや実験例等を例示することは消費者に対する説明としては足り得ず、かえって効能効果や安全性について誤解を与えるおそれがあるので用いないこととされています。

 

それらを踏まえて「9割以上の人が改善しています」という表記も、「虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)」に抵触するおそれがあります。

2.before・after表現はOK?

基礎化粧品である美容液等の広告表現で、使用前・後の写真を記載すること(いわゆるbefore・after表現)はできるのでしょうか?

 

結論から言うと、基礎化粧品の広告におけるbefore・after表現はNGです。これも医薬品等適正広告基準、及び「虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)」に抵触するおそれがあります。これは、写真が加工されていない実際のものであったとしてもNGです。一方、日本化粧品工業連合会が出している「化粧品等の適正広告ガイドライン」において、いわゆる「メーキャップ化粧品」のbefore・after表現について、保証表現となるので認めないとしています。

 

ただし、口紅の色の説明やファンデーション・アイシャドウ等によるメーキャップの効果を、素顔と比較して「化粧例」「仕上がり感」ときちんと明示して表記することは差し支えないとしています。

3.「アンチエイジング」表現は問題ない?

化粧品等の広告で「アンチエイジング」という表現が出てくることがあります。「アンチエイジング」といっても、広告主によりその解釈はさまざまだと思いますが、直訳すれば「老化防止」という、かなり行き過ぎた意味になります。一般化粧品の広告における「アンチエイジング」表現は、医薬品等適正広告基準、及び「虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)」に抵触するおそれがあります。

 

ちなみに「エイジングケア」という表現については「年齢に応じたお手入れ」といった意味ですので、その言葉の使用自体に問題はありません。その上で、「化粧品等の適正広告ガイドライン」は「エイジングケア」表現について注意事項を示しています。

 

 

・「エイジングケア」と表記しながら、若返り・老化防止といった化粧品の効能効果の範囲を踏み越えた表現は認められません。

 

・「素肌の若さがよみがえるエイジングケア」といった、素肌が若返る・素肌の若さが戻るといったエイジングケア表現は不適正です。

 

・「肌の加齢・老化を防ぐエイジングケア」といった、素肌の加齢による老化を防止するといったエイジングケア表現は不適正です。同様に(加齢による)シワ・たるみの防止といった意味でのエイジングケア表現も不適正です。

 

・配合成分や作用の説明で、老化防止といった意味でエイジングケアと謳うのは不適正です。
「老化を防ぐ。○○成分によるエイジングケア」「シワの原因をコントロールするエイジングケア作用」といった表現です。

 

・「エイジングケアで老化に負けない肌質に」「エイジングケアで素肌が若返る」といった、肌質が改善され老化が防がれるといったエイジングケア表現は不適正です。

 

 

なお「年齢のサインを隠すエイジングケア」「若く見せるエイジングケア」といった、メーキャップの物理的効果によって、肌の老化や、紫外線等による肌の衰えを目立たなくさせるという意味での表記であれば可能としています。

4.「美白・ホワイトニング」効果は謳える?

主に化粧品の広告表現において、「美白・ホワイトニング」効果は謳えるかという問題ですが、これはケースバイケースとなります。まず「一般化粧品」においては、肌質そのものに作用を及ぼすような(しみ・そばかすを防ぐといったもの)「美白・ホワイトニング」効果は表記できません。

医薬部外品である「薬用化粧品」において、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」という効能効果が、法的に承認を受けたものであるとします。その際、その広告中に「美白」というフレーズを使いたい場合は、

 

美白※  ※メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐこと

 

といったように、その効能効果を正確に併記しなければいけません。

 

また、すでにあるしみ・そばかすが治る・薄くなるといった治療的表現は、たとえ承認を得た薬用化粧品であっても用いることはできません。このような表現は「虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)」に抵触するおそれがあります。

 

一方、「一般化粧品」におけるいわゆる「メーキャップ化粧品」において「メーキャップ効果により肌を白く見せる」といった意味の表現は可能です。例えばファンデーションの広告表現で「しみ・そばかすをメイクで美白に」といった表現です。要するに「しみ・そばかすをメーキャップで隠す」旨は表記できるので、こういった物理的効果と、いわゆる肌質そのものに作用を及ぼすような美容効果は、読み手に誤解を与えないように区別して表現しなければいけません。

 

更に「一般化粧品」の広告表現において、単に「しみを防ぐ」といった表現は問題があります。しかし「日焼け止め」といった狙いがあるのであれば「日焼けによるしみ・そばかすを防ぐ」と、省略せずに表示すれば、認められた表現の範囲となります。

 

次回は「承認前医薬品等の広告の禁止(薬機法第68条)」に関する具体的な説明をします。

 
 

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